《北海道》札幌千秋庵

 1921年、札幌市の駅前通りに「小樽千秋庵」より暖簾分けをされ創業。洋風煎餅「山親爺」や餡入りパイ菓子「ノースマン」は長年、道民のおやつとして親しまれている。千秋庵の独創性にあふれたデザインの原本は、すべて二代目・岡部卓司氏によるもの。現在も昔からあるデザインを活かし、現代向けにアレンジして展開している。

 千秋庵のデザインテーマである「レトロでかわいい/ほのぼの感/昭和のノスタルジーを感じさせるものを残しつつ今につなぐこと」がすべて表現された2つの缶。「小熊のプーチャンバター飴缶入」は“北海道の大空に浮かぶような楽しい気持ちで小熊がウッドベースを奏でる”という構成で、1958年よりこのデザインだ。「北のマドンナ6個入缶」も1985年から現在まで変わらない。“北のマドンナ”のデザインには二代目・卓司氏のヨーロッパへの限りない憧れが投影されているという。

 

《北海道》旭豆

 今から約120年前の1902年、北海道で取れる大豆と甜菜糖から誰もが好む菓子が作れないかと生まれたのが「旭豆」だった。

《北海道》塊炭飴

 かつて炭鉱の町であった赤平市の名物菓子。地元の「石川商店」が1932年より製造している。赤平産出の“黒ダイヤ”とも称された高品質の石炭をモチーフにした飴だ。「塊炭飴」じたいは東京でも「どさんこプラザ」などで手に入る。しかしこの缶だけは都内で手に入らない。それだけに貴重だ(取り寄せ可能だがオンラインサイトなどはなく電話で問い合わせを。これもまたいい)。この渋さ、男らしさ、無骨さ。昭和という時代や炭鉱の町を体現したようなデザインは今の時代には決してないものだ。たしかな資料は残っていないが、デザイン学校の学生がデザインを手がけたと伝わっている。

《新潟》雪国あられ

 新潟の定番銘菓である「雪国あられ」。今から50~60年前にデザインされたもので原画などは残っていないが、創業者である初代社長が手がけたと伝わっている。創業者は一時、画家を志すほどの美術好きで、退職後は油絵画家として新潟市を中心に活動していた。

2021.11.07(日)
文=中田 ぷう