パイナップル島のまわりにフルーツのごとく浮かぶボート。(C) RBG Kew

 ロンドンの王立植物園、キュー・ガーデンでは現在、園内の北側を使って、食べられる植物を紹介するイベント「IncrEdibles」(Edible=食用の)を開催中です。

 キュー・ガーデンといえば、ユネスコ世界文化遺産にも登録されており、132ヘクタール(東京ディズニーランドの約2.6倍)もの広大な敷地のなかに、3万種類以上の植物を栽培している、世界屈指の植物園。そのキュー・ガーデンが送る、この夏のイベント「IncrEdibles」では、温室から、池や特設の畑まで、「食べられる植物」について学べる数々の仕掛けが用意されています。

パーム・ハウス前のエリアも畑に早変わり

 まず、キュー・ガーデンのハイライトのひとつである温室、パーム・ハウスには、食べられる植物ひとつひとつに、カラフルなサインと解説が加えられています。ドリアンやサトウキビなどお馴染みのものから、ちょっと変わったスパイスまで、その数なんと60種類。週末の午前11時~午後2時には、ボランティアによるツアーも開催されているので、詳しく知りたい方にはおすすめです。パーム・ハウスのお隣、大きな睡蓮の葉が浮かぶ池があるウォーターリリー・ハウスでは、30種類ものチリを展示。またこれらのチリを使ったお持ち帰り用レシピも用意されています。

パイナップル島やボートなどのデザインを担当したボンパス&パー。(C) Bompas & Parr

 パーム・ハウスの前の池、パーム・ハウス・ポンドには、巨大パイナップルのインスタレーションが目印のパイナップル島が。これは、食べ物をテーマとして扱うアーティスト、ボンパス&パーのユニットによるデザインで、池全体をフルーツ・サラダのボウルに見立て、赤や緑などフルーツ色にペイントされて、ちょうどフルーツのスライスのように見えるボートが、池の上をさまようという仕立てです。

 パーム・ハウスの裏側には、長いテーブルが設えられ、そこには、ポットに入ったハーブなどの植物とその解説と共に、かわいらしいお茶のセットが。友だちや家族と席について、それぞれの解説を読みながら、ひと休みできる場所になっています。

左:パーム・ハウス内で、食べられる植物には、このような目印と解説が設置されています
右:パーム・ハウス裏の「ローズ・ガーデン・ティー・パーティー」では、ティーセットと共に食べられる植物が展示されています

<次のページ> ピクニックも楽しめる園内北東エリア

text&photographs:Kazuyo Yasuda(KRess Europe)