「ハポン」の苗字を持つスペイン人はもしかすると……?
さてこの慶長遣欧使節団、当初の目的こそ果たせなかったものの、スペインに対する日本初の公式使節団ということで歴史に残る大事業であったのは間違いないところだが、実はもうひとつ大きなものをスペインの地に遺すことになった。それは「ハポン(スペイン語で「日本」)」という苗字である。
使節団が長逗留したセビリア周辺、特に近郊のコリア・デル・リオには、ハポンさんという名前の人が珍しくない。支倉常長一行のなかには、帰国の途につかずスペインの地にとどまった日本人が少なからずいたとされ、その子孫がハポンという姓を名乗るようになった、というのが通説である。
どう見ても生粋のスペイン人にしか見えない人から「名前は“日本”です」と言われると、面食らいつつも何だか急に親しみがわいてくる。400年前の、多分仙台出身であろう誰かの顔が、彫りの深いそのスペイン人の顔の向こうにふっと見えるような気がして、歴史の不思議を感じる一瞬である。
(編集部注:6月18日、支倉常長が持ち帰った品々とスペインに残る文書からなる「慶長遣欧使節関係資料」が、ユネスコの世界記憶遺産に登録が決ったと発表されました)
日本スペイン交流400周年公式サイト
URL www.esja400.com/jp/index-jp.shtml
在スペイン日本国大使館 日本スペイン交流400周年事業案内ページ
URL www.es.emb-japan.go.jp/japones/relaciones/400_japon_espana.html
コリア・デル・リオ市文化センター 支倉常長とハポン姓について(スペイン語)
URL centroculturalpastorasoler.jimdo.com/cultura-japonesa/cultura-japonesa/historia
坪田みゆき(つぼたみゆき)
バルセロナ在住、コーディネイター。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)イスパニア語学科卒。在東京スペイン政府観光局勤務などを経て、2004年よりバルセロナ在住。バルセロナ、バレアレス諸島(マヨルカ島他)、バスク地方などを中心に、スペイン全土の取材・撮影コーディネイトの他、通訳・翻訳業務も行っている。http://spainbcn.exblog.jp/
text:Miyuki Tsubota