粘土に縄を転がしてつけた縄目文様から、そう呼ばれるようになった縄文土器。

 そのたおやかな文様、心緩む表情の土偶などから伝わるのは、人間味に溢れた温もり。

 世界遺産に登録される北東北の遺跡を訪れる前に、縄文時代の遺物を多く所蔵している東京国立博物館で不思議な魅力を持った「縄文の美」の捉え方を体感しておく。


 誰が、なんのために作ったのか。その視点をもって縄文時代の造形と向き合うと見えることが多い。そう語るのは、東京国立博物館の品川欣也さん。

 「縄文アートの場合は、人々が互いに協力し合って暮らしていくために生み出された美なんです。

 縄文時代の出土品は日本各地で発見されています。

 当時はいわゆる“作家”がいないので個性が発揮されにくい分、みんなのための美術という捉え方ができます。

 時代が進み古墳時代になると、巨大な古墳から出土する埴輪のように“有力者のための美術”となるわけです」

Photographs=Asami Enomoto

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