世界的真珠ブランドのはじまりの地

 入り組んだ島影に守られた穏やかな湾内に、いくつもの真珠筏(いかだ)が浮かんでいます。整然と並ぶ筏の下にはケージに入った真珠貝がそれぞれ50個ずつ入っているそうです。

 一粒の真珠が生まれるまでには、手間暇がたっぷりとかかります。2カ月に1度は海中から引き上げて貝の掃除や手入れを行い、冬は暖かい海域へと移動するなど、売り物になるまでに、約3~4年の月日がかかるとか。

 今では「MIKIMOTO」といえば、世界的な真珠のブランドですが、そのはじまりの地がここ、英虞湾です。

約130年前に始まった真珠養殖と“誓いの言葉”

 海産物商だった御木本幸吉が世界で初めて半円真珠の養殖を成功させたのが、1893年(明治26年)のこと。その陰には妻のうめの内助の功があったといいます。

 夫婦二人で力を合わせ、養殖を手掛けたものの、赤潮によって真珠の母貝であるアコヤ貝がほぼ全滅。力を落とす幸吉。その傍らで、うめはひとつひとつ貝を開き、5粒の真珠を見つけました。それが世界初の養殖真珠となったのです。

 それから12年後、伊勢神宮に行幸された明治天皇に拝謁した御木本幸吉は、「世界中の女性の首を真珠でしめてごらんにいれます」と、宣言。その誓いの言葉は実現されました。

 クルーズではミキモト真珠養殖場の前を航行し、真珠モデル工場に立ち寄ってアコヤ貝に核を入れる作業を見学。そして伊勢志摩国立公園のリアス海岸を満喫します。

2021.07.31(土)
文・撮影=古関千恵子