傍らにあるだけで嬉しくて、使い続けてますます愛おしくなる物がある。

 日々の暮らしを豊かにする物はきっと、志ある人の手によって生み出されるのだ。

 今、新たなムーブメントが起きている、岡山の新しい作り手9人に注目。今回は、岡山県・瀬戸内市で「人の営みの象徴」である匙を作り続ける匙屋・さかいあつしさんを紹介する。


「人の営みの象徴」としての匙作りに静かに挑む

◆さかいあつし
[匙屋]

  牛窓のバスロータリーの奥に「sajiya studio」が在る。妻のかよさんが選んだアイテムと「匙屋」の屋号で活動するさかいあつしさんの作品が並ぶギャラリー&ショップだ。

 東京・国立で同様の営みをしていたが、東日本大震災を機に、移住先を探す。ともに中部地方出身の二人が、里帰りできる距離で、住みたい場所がこの牛窓だった。

 匙屋の工房には先住者が残した荷物と、工房に散らばるオリーブの枝や工具が違和感なく同居する。

 子どもから年老いるまで使い続ける「人の営みの象徴」である匙を作り続ける彼に変化が起こったのは2018年。

 もうひとつのブランド瀟木子(sho bok si)としての活動も始めるが、これは様々な樹皮の色や枝の曲り具合を、匙の形に当てはめながら、美術的解釈に挑む行為で、牛窓を特徴づけるオリーブの剪定枝あってのことだ。

 工房は「不定期にオープンスタジオとして公開もしたい」という。引っ越して8年。地元の人と交流を深め、この地に根を張っているようだ。

さかい・あつし、さかい・かよ

さかい・あつし 1969年生まれ。さかい・かよ 1970年生まれ。ともに愛知県出身。あつしは「匙屋」製作担当、かよはギャラリー&ショップ「sajiya studio」運営担当。牛窓町在住。

sajiya studio

所在地 岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓3012
電話番号 0869-24-7637
営業時間 11:00~17:00
定休日 月~木曜、ほか不定休
https://www.sajiya.jp/
※展示により異なる。要問い合わせ。

Feature

暮らしを潤す逸品
岡山の新しき作り手たち

Text=Akiko Hino
Photograph=Masahiro Shimazaki

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日本の手仕事を探しに

CREA Traveller 2021年春号

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