傍らにあるだけで嬉しくて、使い続けてますます愛おしくなる物がある。

 日々の暮らしを豊かにする物はきっと、志ある人の手によって生み出されるのだ。

 今、新たなムーブメントが起きている、岡山の新しい作り手9人に注目。今回は民藝品が集まる、充実の工房「須波亨商店 倉敷いかご」を紹介する。


人柄と強い探究心に惹かれ民藝品が集まる工房

◆須浪隆貴(すなみ りゅうき)
[須浪亨商店 倉敷いかご]

 工房の一角に通された者は、世界各国の「編んだ」物が一面に掛けられているブルーの壁に目を見張る。

 大甕や、沖縄の骨壺である厨子甕などもそこかしこに置かれ、民藝館さながらだ。須浪隆貴さんが「民藝」に目覚めたのは数年前。

 祖母はい草の産地の特性を生かしたかご「いかご」を編み、家業は「花茣蓙」という、絵柄を織り出すゴザ製造だった。高校を卒業したころには、祖母も年老い、かごの製造量も減っていた。

 何事も器用にこなす彼は、祖母から機を譲り受け、教えられた手法をバージョンアップしていく。

 祖母が小遣い程度の金額で売っていたかごを「ちゃんと生活できるぐらい」にして、「いかご」作りの再スタートを切ったのが20歳のころ。

 デザインにも磨きをかけ「日本民藝館展」に応募して以来、民藝の仲間になっていった。

 旺盛な創作欲から縄のれんも研究し、友人の飲食店や宿などにも納めている。彼の人柄と探究心、蒐集への評価は高く、今後の動きも目が離せない。

※須浪さんの作品は「融民藝店」、「くらしのギャラリー」などで購入可能。

須浪隆貴(すなみ・りゅうき)

1993年岡山県倉敷市生まれ。岡山県民藝協会副会長。縄のれんはキノシタショウテン(木下尚之さん)の一部店舗にも使われている。

くらしのギャラリー

所在地 岡山市北区問屋町11-104
電話番号 086- 250-0947
営業時間 11:00~19:00
定休日 火曜
http://okayama-mingei.com/


融民藝店(とをるみんげいてん)

所在地 岡山県倉敷市阿知2-25-48
電話番号 086-424-8722
営業時間 10:00~18:00
定休日 月曜、第2・4火曜
https://www.facebook.com/toworumingei/

Feature

暮らしを潤す逸品
岡山の新しき作り手たち

Text=Akiko Hino
Photograph=Masahiro Shimazaki

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日本の手仕事を探しに

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