Who's 芥川龍之介?

 1892年東京生まれ。東京帝国大学英文科在学中から同人誌に小説を発表、注目を集める。小説『鼻』が夏目漱石に激賞され、地位を確立。『地獄変』、『藪の中』など次々と名作を発表、文壇の寵児となる。菊池寛とは長男にその名(比呂志)を付けるほどの間柄。『文藝春秋』で3年間連載した「侏儒の言葉」は、同誌の一番の呼び物になった。1927年、「将来に対する唯ぼんやりした不安」を理由に、自宅で睡眠薬を飲み自殺。享年35。菊池は友人総代として弔辞を読んだ。

Who's 直木三十五?

 1891年大阪生まれ。読み方は「さんじゅうご」。本名は植村宗一で、ペンネームの直木は「植」の漢字をばらしたもの。最初のペンネームは「三十一」だった(当時31歳だったから)。その後、誕生日の度に名前の数字を増やし、三十三で留めたものの、「散々」とも読めるため、三十五に改名した。代表作は『南国太平記』。初期『文藝春秋』の無署名の雑文の多くは直木の筆といわれ、とくに文壇ゴシップ記事が人気を呼んだ。1934年、結核性脳膜炎で死亡。享年43。

両賞の生みの親・菊池寛

 1888年香川県生まれ。1910年、第一高等学校に入学、同級の芥川龍之介、久米正雄、山本有三らと出会う。同校を退学後、京都帝国大学文学部英文学科に入学。卒業後、時事新報社会部記者を経て作家に。代表作は戯曲『父帰る』、小説『恩讐の彼方に』、近年、昼ドラ化でも話題になった『真珠夫人』など。1923年に文藝春秋社を創立、同名雑誌を創刊。1935年に芥川賞・直木賞を創設した。競馬や麻雀を愛したことでも有名。1948年狭心症で死亡。享年59。

2013.05.04(土)
text:Yoshiko Usui
photographs:Mami Yamada / Bungeishunju

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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