豊かな海が育むボルゲリ
3、4日おきに寒かったり、暖かかったり、イタリアも今そうやって春に向かっています。空に暖かな太陽が輝いた日、春の海を見に、トスカーナ、エトルリア海岸の町ボルゲリへ出かけました。
夏の海水浴シーズン前の静かな春の海。打ち寄せるさざ波の音、海から吹く少し冷たい風が心地よい。やわらかな春の日差しに映えた空と海はパステルカラーのやさしい水色。春色に包まれて、体のどこかに無理に入っていた力がふぅっと抜け、穏やかに、心がほどけるようです。
右:ティレニア海に面した長い海岸線には砂浜が続きます
さて、ボルゲリと聞けばワイン好きの方ならすぐにピンとくる、あの高級ワイン「サッシカイア」の里。イタリアワイン法DOCなど従来の格付けに捕われず、ひたすらにおいしいワインを追求し、数々の銘酒を生み出したワインの名醸地です。
おいしいワインになりうる良いぶどうがこの地に育つ理由は、ミネラル豊富な土地と、そして、いつもここに吹いている海風。それは、さんさんと降り注ぐ太陽によって日中は暖かい風となり、夜は海に冷やされ冷たい風となって、この地に寒暖の差を生み出します。その気温差がジューシーで凝縮感のあるおいしいぶどうを育むのです。
右:前菜にいただいた「Zuppetta di Mare」スープ1滴も残したくないおいしさ
そして、おいしいワインがあるところにはおいしい食べ物あり、と勝手に言ったのは私ですが、でも本当にそう思うんです。海に近いここボルゲリにはおいしい海鮮があります。なかでも評判の、おいしいスパゲッティ・ボンゴレがこの辺りにあるとうわさに聞き、ぜひとも食してみたいとお店に行ってきました。