世界をうならせたチョコレートを味比べ
工房見学を終えたあと、チョコレートのテイスティングをさせていただきました。説明してくれたのはオーナーで、ショコラティエでもあるチェチリアさん。
右:チョコレート・アワード ゴールデン・ビーン賞のトロフィと受賞したチョコレート「9」
カカオ豆にもそれぞれ個性があって、さまざまに違う味わいをもっています。チョコレート・アワードで2度のゴールデン・ビーン賞に輝いた「9」は、初めはエスプレッソのようにほろ苦く、口溶けとともに一気に華やかなカカオの香りが広がる絶品。この冬の新作「ブランコ・デ・クリオロ」は、カカオのほろ苦さのなかをフルーツのような酸味がすっと通り過ぎる、キリマンジャロコーヒーのような酸味とコクが楽しめます。また産地別チョコレートの「ジャマイカ」は弾むような香ばしさとその奥にほんのり感じるフルーティな酸味に、なんとなく明るいジャマイカの空を連想させられる感じ。多種多様なワインはよく飲み比べ、テイスティングされますが、チョコレートのテイスティングもそれはそれは興味深く、面白いものでした。
どれもそれぞれにおいしいチョコレート。そのどれにも共通したここのチョコレートのいちばんの素晴らしさは、その極上のなめらかな口溶け。舌の上で滑らかに、ほどけるように溶けていくチョコレート。それは溶けてゆくごとに、香ばしく、ドラマティックに香り、奥行き深い味わいを楽しませてくれます。それこそ、厳選したカカオ豆の本当の力、添加物に頼らず、丁寧に手をかけて作った作業の賜物。
私が言うテイスティングの感想に、そうね、と微笑みながら興味深げに耳を傾けてくれるチェチリアさん。その笑顔から、カカオの真のおいしさを純粋に活かしたレシピから、彼女がどれだけチョコレートを大切に思っているのかが分かります。”Passione”、それは尽きることのない熱い思い。その熱い思いがチョコレートを滑らかに溶かしていきます。それぞれに個性あふれるチョコレートを食べ比べ、こんなにも深く、色んな味わいがあるのを知って、ますますチョコレートが大好きになりました。そして、情熱を持って、丁寧に手をかけることの大切さを改めて教えられた気がしました。
熱い思いで大切に大切に作られたチョコレート。チョコレートが話題になるこの時期に乗じて、一粒口に入れてみませんか。大切な誰かと分け合うのもいいし、独り占めしてじっくり味わうのもいいですね。そのやさしい口溶けに、カカオが本来持つ力強い味わいに、きっと新しい発見があるでしょう。それは私たちが忘れていた大切な何かかも知れません。
AMEDEI
住所 Via San Gervasio, 29, La Rotta, Pontedera, Italy
電話 0587-484849
URL www.amedei.it (日本語のサイトあり)
【商品の取り扱い】
日本でネット販売されるようになりました。
公式ホームページ、製品紹介のページにて購入できます。
【工房見学ついて】
アメデイの工房はチョコレートを愛するみなさんに扉を開いています。あくまでも工房ですので大人数の対応はできませんが、少人数で、事前に予約すれば、工房見学とテイスティングを体験できます。こちらも詳しくはホームページで。
藤原亮子 (ふじはら りょうこ)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。イタリアでの日々をつづったフェイスブック www.facebook.com/chococogogo