#03『さよなら、ぼくのモンスター』

幼少期に抱えたトラウマと恋が 複雑に絡み合う

 幼少期に目撃した殺人事件のトラウマに悩まされるゲイの高校生が、自分の居場所を見つけていく成長ドラマ。ヒリヒリするような“痛み”を、アーティスティックに描いた作品です。

 父子家庭で育った主人公の心に渦巻く、父親との関係性や、特殊メイクアーティストへの夢、アルバイト先で出会った同僚への恋といった感情がトラウマと複雑に絡み合い、幻想と現実が絡み合う形で描かれていきます。

 ショッキングな描写もありますが、独創性が非常に高い。詩的で鋭さが際立つ本作は、一度観たら忘れられない映画となるでしょう。

 『さよなら、ぼくのモンスター』はカナダの新鋭監督ステファン・ダンが手掛けた映画ですが、同じカナダ出身の映画監督だと、『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』が先日日本で劇場公開されたグザヴィエ・ドランも、同性愛をテーマにした作品を撮り続けている若き天才です。

 ご興味がある方は、彼の映画もチェックしてみてください。

さよなら、ぼくのモンスター

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2020.04.27(月)
文=SYO