緊急事態だからこそ 使ってはいけない言葉とは?

 そして、このような緊急事態だからこそ、子どもに対して「『禁止』や『脅し』のような言葉」を使ってはいけません。

 子どもに何か伝えるとき、親の方も不安ですから、つい「エレベータのボタンを触っちゃだめだよ」「手を洗わないとコロナになっちゃうよ」と、禁止や脅しのような言い方で話してしまう。

 しかしこれでは、ただでさえ報道を見て過敏になっている子どもを、いたずらに怖がらせるだけです。

 また、多くの親が子どもを心配するあまり、「家から出るな」などと注意するような口調で声をかけてしまいます。子どもたちはただでさえストレス下にあるのに、加えてずっと叱られている状態になってしまいます。

 感染予防のために何かをさせたい時には、具体的にどうするのかをはっきりと提示することが大切です。「階段の手すりは汚れていることがあるから、後で手を洗おうね」のように「AだからBしようね」と教えるのです。

「~しちゃダメ」「~したらコロナになっちゃうよ」という言葉はNG(写真はイメージ) ©︎iStock.com
「~しちゃダメ」「~したらコロナになっちゃうよ」という言葉はNG(写真はイメージ) ©︎iStock.com

「親の言葉」は 氾濫するニュースに負けない

 いま日本中の親が、毎日子どもに「手を洗いなさい」と繰り返していることでしょう。でも、なかなか言うことを聞かないかもしれません。

 それなら、親も一緒に手を洗い、一緒にできたら子どもの目を見てちゃんと褒めてやることです。それが子どもの精神安定の面でも重要になってきます。

 もし、すでに「禁止」や「脅し」のような言葉を繰り返し使ってしまっているなら、その言葉を「上書き」していくことが重要です。

 怖がる小さな子どもには「パパはこういうふうに手をちゃんと洗えば、ほとんどコロナにはかからないって聞いたんだ。だから一緒に洗おう」と言葉をかけ、一緒に手を洗う。

 そして子どもがちゃんと洗えたら「よく洗えたね、きっとこれで大丈夫だよ」と安心させる言葉をかけてあげるのです。

親の言葉の影響力は大きい(写真はイメージ) ©︎iStock.com
親の言葉の影響力は大きい(写真はイメージ) ©︎iStock.com

 たくさんのニュースや情報が巷に氾濫している今だからこそ、一番子どもの近くにいる親の言葉の力に気付くべきです。

 親の何気ない一言が子どもの遊びに影響しているのと同様に、その力はきっと子どもの心身を守ることにも役立ちます。

※こちらの記事は、2020年4月6日(月)に公開されたものです。

記事提供:文春オンライン

2020.04.19(日)
文=「文春オンライン」特集班