世界遺産・清水寺で行う期間限定プラン

 「星のや京都」のアクティビティのなかでも、2020年が始まったばかりの今こそ体験したいのが、「今年のわたしの漢字(~2月29日)」。世界遺産の「清水寺」を和尚様と巡り、一年の抱負を漢字一字で書初めするというスペシャルな内容だ。

 「和尚様の前で書道など!」と、身構えることなかれ。前日に「星のや京都」で、書道家の指導の下、書の練習を行う時間がしっかりと準備されている。筆を持つ機会がない人でも安心して清水寺での本番を迎えることができるはずだ。

 前日のレッスンでは、硯で墨を磨ることから始め、筆の持ち方や姿勢を教わり、基本的な「止め」や「払い」を練習する。「子どもの頃のお習字の時間みたいだなあ」と思って始めてみると、意外や意外、ひたすら硯に向かって墨を磨る時間がなんともいえず、気持ちがいい。

 なんでもない時間、ひたすら同じ動作をくりかえすことは、気持ちを集中させ、邪念を取り払うのかもしれない。

 「墨を磨るのは、書道をするための準備であると同時に、日常から非日常へと入っていく助走の時間なんですよ」と、指導してくれた書道家の川尾朋子氏。墨の香りがもたらす鎮静作用と相まって、しだいに心も落ち着いてくる。

 「筆、紙、墨、硯。これらは文具四宝と呼ばれ、昔から絶えず受け継がれてきた文化。今も残されているのが素晴らしいですよね」と話す川尾氏の凛とした佇まいも魅力的。これを機に、書道の素晴らしさに目覚めてしまいそう。

 ひととおり基本を習った後は、好きな文字の練習。一筆一筆に集中して字と向き合うためにも、事前に一文字を心に決めて、とりかかりたい。

2020.01.19(日)
文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵