あんはたっぷり入れ、皮はパリッと香ばしく

こんもり、たくさんのあんを入れて焼きます

「元々が趣味。家族に食べさせたくないものは作りたくない。材料はできるだけ上質なものを使いたい」。それで、あんこには北海道・十勝産の減農薬の小豆を使用。まず、炊いた小豆を砂糖の蜜漬けにして1日置きます。その小豆を炊いて、新たに煮た蜜に入れ、甘味を吸って軟らかくなった小豆を、2日目に練って仕上げるという手間のかけ方。砂糖は上質なものを厳選。質を下げると、あんにえぐみが出てしまうそう。そのあんこをたっぷり使っているのが大きな特徴。「あんをたくさん入れているから、冷めてもおいしいんです」と多加さん。

皮は薄くパリッと

「皮は、いかにパリッと焼くか、です」。試作を繰り返した結果、小麦粉に卵を少しという独自のブレンドになりました。卵も地元産のもの。そして、あんこをたっぷり入れて皮はできるだけ薄く。パリッと香ばしい焼き上がりを目指して、多加さんは毎日10時間も鯛焼を焼き続けています。

「焼きたてよりも冷めてからが、あんのおいしさがわかります。熱々の時は、甘さが薄っぺらいんですよ」と多加さん。

あんこたっぷりで、冷めてもおいしい

 持ち帰って、冷めた鯛焼を、おすすめどおりオーブントースターで1分から1分半軽く温めて食べてみました。皮は薄くてパリッ。あんこは上品でまろやかな甘さ。頭からしっぽの先まで、あんこがたっぷり。後口のキレがいいので、ついもう1匹食べたくなります。

 ほうじ茶や黒豆茶を飲みながら、パクリ。中国茶の岩茶もよく合います。近所にあったら、毎日でも買いに行ってしまう鯛焼かも。

鯛焼工房 やきやきや
住所 兵庫県加古川市加古川町篠原町59
電話番号 079-427-5176

宗田洋子(そおだ よおこ)
ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2012.12.16(日)