◆Trading(取引)
さらに進んで「Trading」のセクションへ。ここでは、食材の売買から流通に関する問題が、アートというフィルターを通して展示されています。
英国の大手スーパーマーケット・チェーンのパッケージに用いられているモチーフを再構成したアートパネルや、エクアドルで摘み取られたバナナがアイスランドのスーパーマーケットに辿り着くまでの8,800キロの旅路に注目する作品など、考えさせられる展示ばかり。

また、東ロンドンの地域住民によるグループが、自分たちで摘み取ったフルーツやハーブ、ホップを利用して製造しているドリンクの試飲カウンターも要チェック。
暑い日にのどをさっぱりと潤してくれるハーブ・ウォーターが味わえます。

◆Eating(食)
最後のセクションが、日々の食生活と最も関わりの深い「Eating」。

調理することと食べること、食文化に関する展示品が集められています。
伝説的なスペインのレストラン「エル・ブジ」のシェフ、フェラン・アドリアによるアートワーク、歴史的なレシピや、SNSインフルエンサーによる写真、また有名ミュージシャンやシェフの粘膜からとったバクテリアから作られたチーズ、V&Aのコレクションからの食に関する歴史的な広告や食器なども並んでいます。

このセクションの目玉は、「LOCI FOOD LAB」のカウンターです。自分が食に求める最も重要なキーワードを3つ選ぶと、それをベースにパーソナライズされた小さなカナッペをその場で作ってくれる、というもの。

カウンターで「A great food system should be」の後に入るキーワードを3つ選ぶと、パーソナライズされた小さなカナッペを作ってくれる「LOCI FOOD LAB」。「Delicious」「Zero Wasting」「Open Source」を選んだら、なんとこれまでに同じ組み合わせを選んだ人はゼロ、という結果に。写真提供:Victoria and Albert Museum (C)Center for Genomic Gastronomy。
エキシビション出口にあるショップのインテリアも、ファームショップ風。


以前にご紹介した「Cult Vineger」など、普段のV&Aでは扱っていないような、興味深い食品のラインナップもお見逃しなく。
日常生活と関わりの深い食と環境を、現代的な切り口で展示しているので、食べること・料理をすることが好きな人には楽しめるエキシビションです。
FOOD: Bigger than the Plate
会期 2019年10月20日(日)まで
会場 Victoria and Albert Museum
所在地 Cromwell Road, London SW7 2RL
開場時間 10:00~17:45(金曜 10:00~22:00)
料金 17ポンド
https://www.vam.ac.uk/exhibitions/food-bigger-than-the-plate
安田和代(KRess Europe)
日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
●ロンドンでの小さなネタをつづったインスタグラム @gezkaz
●運営する編集プロダクションのウェブサイト http://www.kress-europe.com/

Column
かつて王都を誇ったロンドンは、いまだ偉大なパワーを持ち、魅力溢れる街。そう、この都会はいつまでも飽きることがありません。世界の中心から発信される素敵な情報を、現地からそのままお届けします!
文・撮影=安田和代(KRess Europe)