たくさんの地元の人が通うおいしい朝ごはんのお店

 彼女の夢のはじまりは、「Kim's Fast Food」というカリヒにあったファストフードの韓国料理店。エセルのご両親は韓国からの移民で、80年代はじめにハワイに来て、1985年にこのお店をオープンしました。当時は韓国料理のお店は少なく、人気のテイクアウト店となったそう。住まいは店の2階。毎日、食べ物に囲まれる生活で、エセルは自然とお料理に興味を持つ女の子に成長します。小さい頃から料理に親しみ、自分で想像して新しいメニューを考案するのが趣味。クッキングスクールに行ったことはないけれど、あれこれ考えては、切ったり、混ぜたり、焼いたりというのを繰り返していたら、自分のお店をどうしても持ちたくなった! 自営業をしていた両親の影響はやはりとても大きかったと言います。

エセル(真ん中)とフレンドリーなスタッフ

 夢のためにも、自分のやりたいことを見つめ直す意味でも、エセルはハワイを離れてカリフォルニアで5年間生活します。学生をしながら、アメリカ本土にはたくさんある朝ご飯のお店に行って、自分なりのお店研究をしました。そして想い描いたのが、ビーチにあるようなコテージ風の内観に、気のおけない雰囲気、地元の人がたくさん通う朝ご飯のとびっきりおいしいお店。エセルの夢は実現し、ここSweet E's Caféは本当にたくさんの地元の人たちが通うお店です。

エセルの頭文字を取った店名には、我が家のようにくつろいでいってほしい、という願いが込められています

 お化粧もせず、髪の毛をおだんごにして、くるくると動き回るエセルの姿は清々しい!毎日着ているオリジナルTシャツは飛び散った油やら、粉やら、卵やらで汚れているけれど、それがまた彼女らしくって、おいしいものをつくった勲章みたいに見えます。キッチンでは彼女がほとんどのお料理をこなすので、休む暇もない。週末の朝は4時から仕込みに取りかかるそうで、その人気のほどが伺えます。

 働き者なのは親譲りなのでしょう。いまは引退したお父さんのマーシャルさんは、Sweet E's Café の縁の下の力持ち。営業時間内にはお皿洗いを担当します。そして、毎晩深夜、お店をきれいに磨き上げているのもお父さん。働き者の2人がほっと一息ついて、オープン前に親子で食べる朝食は、エセルが腕をふるう賄い飯。常に新しいメニュー考案に余念のない彼女の、新メニューが試されることが多いそうですが、マーシャルさんはパンケーキがお好きなのだそう。ふわふわでもちもちのパンケーキは、Sweet E's Caféのオープンを告げる親子の味でもあるのです。

Sweet E's Café
住所 Kilohana Square 1016 Kapahulu Ave. #185 Honolulu, HI 96816
電話番号 +1-808-737-7771
営業時間 毎日7:00~15:00
メニュー バターミルク・パンケーキ6.49ドル(フルーツ・トッピング1.95ドル)

工藤まや (くどう まや)
雑誌、TV、CMなどのメディアコーディネーター。ハワイ在住13年目。
アメリカ人の夫と愛犬2匹と虹の町マノアに暮らす。
CREA WEBで「おもてなしハワイ」を連載中。近著に山下マヌー氏との共著『かわいいハワイ』(マーブルトロン)

協力:ハワイ州政府観光局
公式サイト www.gohawaii.jp
Facebook www.facebook.com/discover.aloha

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