ベジタリアンやヘルシー志向なローカルの人気を集め、バンクーバーのレストランシーンは野菜料理がトレンド。必ず行くべき最有力店をご紹介。
“イートローカル”を実践
クリエイティブな野菜料理
●Harvest
(ハーヴェスト)
ライフスタイルの感度も良好で、ヘルシー志向が強い北米のウエストコーストにおいてもその傾向が特に顕著なバンクーバー。「世界で最も住みやすい都市ランキング」の上位にランクインするこの都市は、環境やサステイナビリティにも意識が高い。
そんなバンクーバーでは、野菜料理の進化が現在進行中だ。あるレストランオーナーによると、ミレニアル世代の半数はベジタリアンで、その流れを牽引しているという。
農場から食卓まで新鮮な食材を届ける「ファーム・トゥ・テーブル」の考えが浸透し、近隣には農家も多く、オーガニック野菜だって簡単に手に入る。
種類も豊富で、味わいやフレーバーのバリエーションも豊富。カラフルで季節感も演出しやすく、創作意欲が掻き立てられる素材だ。となれば、シェフたちが反応しないはずがない。
レストランの裏庭には自家菜園を作り、近くの山に分け入っては山菜や果実を収穫する「フォーリッジ」も昨今のキーワード。
5年前にメイン・ストリート沿いにオープンしたレストラン、バードック(10/19記事公開)のアンドレアもそんなシェフの一人。
ハイエンドなファインダイニングで腕を振るうこと20年。クオリティの高い高級料理を、もっとリーズナブルでカジュアルに楽しんでもらいたいと立ち上げた自身の店では、メニューの半数以上を野菜料理が占めている。
「手をかけすぎるとせっかくのフレーバーやテクスチャーが損なわれてしまうので、調理しすぎないように心掛けているの。野菜のもつ甘さや苦みなど、最高のコンディションを保ったまま、最高のタイミングで味わってもらいたい」と、アンドレア。
ひと皿に素材をあれこれ盛り込むことはせず、主になる野菜を際立たせながらモダンに仕立てるアレンジは、さすがのひと言。
「花やハーブは彩りやビジュアルのためではなく、あくまでフレーバーとして添えています。私の料理に必要不可欠な要素。だからじっくり味わって欲しい」と笑う。
アンドレアはチャイナタウンの集合住宅に新たにハーヴェストをオープン。和テイストな麺類に、ローカルのグロサリーも販売。住民の要望により地元の野菜を隔週、詰め合わせて店頭で受け渡し、コミュニティにしっかりと根差している。
サステイナビリティやオーガニックをことさら主張しないのも、バンクーバースタイル。食と真剣に向き合う姿勢に惹かれるはずだ。
Harvest
(ハーヴェスト)
所在地 Harvest 243 Union Street, Vancouver, British Columbia
電話番号 604-682-8851
営業時間 11:00~20:00(土・日曜 ~19:00、L.O.は閉店30分前)
定休日 無休
http://harvestunion.ca/
Feature
グルメ都市バンクーバーで
野菜料理を堪能
Text=Mamiko Kume
Photo=Takashi Shimizu
Coordination=Kaz Hasegawa
Cooperation=Destination Canada