フリーダの人生の苦悩がわかる
常備薬や義足も

 展示は時系列に、フリーダの父母の歴史や彼女の子ども時代から始まります。ドイツ人の移民で職業写真家だった父ギリェルモ・カーロが撮影した写真が何点も展示されていました。そのなかには、有名な男装のフリーダが片隅にたたずむ家族写真も。

 幼少期のポリオの後遺症で、長さの違う左右の足に合わせ、ヒールの高さの異なる靴、そして18歳で遭ったバスの事故により骨盤や背骨に大きな損傷を背負ったフリーダのコルセットや常備薬、さらには晩年に片足の膝下を切断した後に使用していた義足などもあり、生涯を通して痛みと闘いながら絵と向き合ったフリーダの壮絶な人生がうかがえます。

 また、彼女が愛用していた化粧品のなかには、おなじみの眉毛に使っていたと思われるアイブロー・ペンシルをはじめ、レブロンのリップスティックや赤のマニキュアなどがずらり。

 たばこケースやサングラス、アクセサリーなど、フリーダ・スタイルを完成させるための小物も多く展示されています。

 最後の部屋には、見事にコーディネートされたフリーダ・ファッションが所狭しと並んでいて、レースや刺繍などの美しいディテールに、思わず身を乗り出して見入ってしまいます。

 エキシビションにあわせて、ショップにはフリーダをモチーフとした小物や、彼女が愛したメキシコの民族衣装であるテワナ刺繍が施されたファッション・アイテムなども多数。会場にも、フリーダ風のドレスやブラウスに身を包んだ女性を多く見かけたので、来場者のファッションにもご注目を。

文=安田和代(KRess Europe)