ロンドンからちょっと足を伸ばして
近代オリンピック発祥の地、マッチ・ウェンロックへ

ウィリアム・ペニー・ブルックス

 オリンピックに沸くロンドン。古代オリンピックの起源がギリシャにあることは有名ですが、近代オリンピック発祥の地が、実はイングランド中部地方の小さな町であることをご存知でしょうか。

 人口わずか2600人の小さな町、マッチ・ウェンロックは、ロンドン・オリンピックのマスコット「ウェンロック」(オレンジ色のほうです)の名前の由来の地でもあります。19世紀、地元の医師であり慈善家だった、ウィリアム・ペニー・ブルックスは、体育教育と運動の重要性を説き、1850年に現在の近代オリンピックの前身であるウェンロック・オリンピックを立ち上げました。

左:テルフォード・セントラルの駅
右:マッチ・ウェンロックの家並み

 このウェンロック・オリンピックを見て、ブルックスの活動に深い感銘を受けたフランスのクーベルタン男爵の働きかけにより、1896年に近代オリンピック第一回が、ギリシャ・アテネで開催される運びとなり、現在に至っています。マッチ・ウェンロックでは、いまでも毎年夏にオリンピックを開催していて、期間中は近隣の町からたくさんの人が訪れ、大いに盛り上がるのです。

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text&photographs:Kazuyo Yasuda(KRess Europe)