“ダル・アラム”のリッチな雰囲気とは

 ダル・アラムとは、アラブ語で“夢の家”の意。本来は、アトラス山脈の麓あたり、ワルザザートという空港から1時間もかからないところにあるのですが、モロッコの雄大な自然を味わうため、マラケシュに降り立ち、アトラス山脈を超えて、砂漠を目の前にした、カスバ街道にあるオアシスの集落の一つ、ダル・アラムのある町スクラにやってきました。喧噪のマラケシュとは打って変わり、椰子の木に覆われた豊かな土地。遠くに山脈を眺める雄大な印象です。

ダル・アラム外観

 ダル・アラムは、もともとカスバ(城塞)だった建物とその周りの土地の2ヘクタールを15年前に手に入れ、5年かけて今の形にしあげたものでした。とにかく美しいのはその庭園と、真ん中にある大きなプール、流れるようにわたされた水場でしょう。造園は、パリのホテル「シャングリラ」や「ロワイヤル・モンソー」、チュイルリー公園を手がけた技師ルイ・ベネによるもので、オリーブの木や果樹園を作り、歩くたび、さまざまな風景が現れるように趣向を凝らしたということです。

美しい庭園と、大きなプール

 リッチに仕上げられたカスバの雰囲気をたっぷりと楽しめるホテルで、プールに入ったり、スパを楽しんだり、散策したりと、ゆっくりとくつろぐのも至福ですが、サプライズに溢れたオプションツアーを企画してくれるのも、このホテルならでは。例えば、オアシスから15分ほど離れた砂漠のただ中で用意する、360°展望の夕焼けを楽しみながらのディナー。渓谷の水辺でのランチ。蛇使い、伝統音楽の演奏などのエンターテイメントも用意してもらえます。料理のレシピを手がけているのは、ピエール・エルメさんの元奥さんのフレデリック・グラセール=エルメさん。伝統的なタジンやクスクス、ちょっとモダンな料理まで、仔細に考えられていて、そんな料理をさまざまなシチュエーションで楽しませてくれます。

夕焼けを楽しみながらのディナー
料理は伝統的なタジンやクスクスなどさまざま

 丘に上ると、このオアシスの全景を一望できるのですが、椰子の木に覆われた豊かな町、そしてその周りを囲む砂漠の風景に圧倒されてしまいます。バカンス、というよりも、人生の豊かさに触れることのできるひととき。それを追い求めているのが、“メゾン・ド・レーヴ”のあり方ではないでしょうか。

Dar Ahlam (ダル・アラム)
Palmeraie de Skoura
Province de Ouarzazate, Morocco

電話番号 212-5-24-85-2239
URL www.maisondesreves.com/nosmaisons_darahlam.html

伊藤文(いとうあや)
パリ在住食ジャーナリスト・翻訳家。立教大学卒業。コルドンブルー・パリ校で製菓を学んだ後、フランスにて食文化を中心に据えた取材を重ねる。訳書に『ロブション自伝』『招客必携』(いずれも中央公論新社)、著書に『パリを自転車で走ろう』(グラフィック社)など。日本復興支援協会GANBALO代表。

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text:Aya Ito