白い漆喰の壁に黒い木枠のチューダー様式の家並み。中世の色濃いチェスターだが、歴史はローマ時代に遡る。

 以降18世紀まで、河川の港街として栄えるも、河口の沈泥堆積とともに衰退し、リヴァプールにその役割を譲る。栄枯盛衰の街はそれでもステータスが高く、マンチェスター・ユナイテッド関係者がこぞって居を構えるなど、近隣著名人の高級住宅地だ。

ディー川にかかるハンドブリッジ。この橋の右側に税関があった。奥はセント・メアリー教会

 昼間はツーリストでごった返す街も、夜はひっそり。静寂を独占できる夕べの散策がおすすめだ。

 今回は、チェスターを象徴するおすすめの老舗ホテルを紹介。

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軽やかなクラシック調に、公爵の趣味が薫る

The Chester Grosvenor
ザ・チェスター・グロブナー

左:階段吹き抜けのベネチアのシャンデリアは、ゴージャスな演出には欠かせない。
右:外観はチェスターの街並み同様、チューダー様式。切妻屋根が印象的なチェスター・グロブナーだ

 このホテルは、あらゆる意味でチェスターを象徴するホテルといえる。

 まず、オーナーはウェストミンスター公爵で、付随爵位のひとつであるグロブナー伯爵がホテル名となっていること。公爵は英国一裕福な貴族として世界的に知られるが、チェスター郊外のイートン・ホールを邸宅とする、地元の名望家でもある。

 次に、20世紀初頭、インターナショナルホテルとして創業して以来、エドワード7世はじめ多くのロイヤルゲストを迎えてきたこと。ほかにも歴代の首相、ショーン・コネリーら俳優、ラリードライバーの世界チャンピオンなど、1世紀以上も、セレブの常宿として君臨している。

(1) レセプションホールの床はいつでもワックスがぴかぴかで気持ちいい。
(2) 客室の内装は、いろいろな世代のゲストに応じられるよう、各部屋さまざま。写真の部屋は416号室。ウェルカムフルーツとして地元のチェシャ・アップルが用意されている。
(3) ドアマンのケビンは小柄だが力持ち。時間があればいつでもドアノブの真鍮を磨いている

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photo:Yuji Ono
realization&text:Satsuki Ohsawa
coordination:Mihoko Ogawa-Higgins
special thanks:Visit Britain(www.visitbritain.com) / Cumbria Tourism / National Trust / VisitLiverpool / Marketing Cheshire / Visit Stoke-on-Trent / Visit York / Virgin Atlantic Airways Ltd.
/ RAILEUROPE