ゆっくりお茶が楽しめる
ローマの隠れ家的カフェを教えます

そのカフェテリアはブラマンテの回廊の中にある

目の前に広がるブラマンテの回廊

 その私のお気に入りの店はナボーナ広場のすぐそばに位置する『キオストロ・デル・ブラマンテ(Chiostro del Bramante)』の中にある。

 そう、16世紀初頭、あのバチカンのサンピエトロ大聖堂の建築を任されたルネッサンス期の巨匠ブラマンテだ。彼が手がけた回廊がひっそりとローマの街なかに存在し、そこに回廊を見下ろしながらのんびりとお茶が楽しめるカフェテリアがあるのだ。しかも値段もかなりリーズナブル。

 ちなみに私が好んでオーダーするカンパリ＆オレンジ(生絞り)はスナックのおつまみ付きで6ユーロ。キッチンはないので温かい料理は食べられないが、ボリュームたっぷりの生ハムやチーズの盛り合わせ、種類豊富なサラダやパニーノは8～14ユーロ。もちろんスイーツもある。

ボリュームたっぷり、しかも値段もリーズナブル

 1500年、ブラマンテが手がけたこの回廊は15年ほど前に完全なる修復を終え、一般に開放されるようになった。個人の所有物らしくPRが充実していないせいか、その存在を知る人は少なく人の往来もあまりない。有料の企画展を定期的に開催しているのだが、内部には入場料を払わなくてもアクセスできるカフェテリアやショップがあることがわかりにくいのもその理由なのだろう(個人的にはそのひっそり感が非常に気に入っているのだが)。

 エントランスを入り、左手の入場料を支払う窓口は無視しつつ、奥へ進むとそこには修復を終えた鮮やかなフレスコ画で彩られたブラマンテの回廊が目の前に広がる。回廊を堪能したら向かって左手にある階段を上るとそこがカフェテリアだ。気候の良い時期なら回廊を見下ろせる外の席がお薦めだが、ホテルのラウンジ並みにゆったりとくつろげる屋内スペースも心地よい。

 無料の無線LANサービスがあるので、私は午後のお茶や夕食前のアペリティフを楽しみつつ、パソコンで軽い仕事をこなしたりもする。これぞまさに至福の時間である！

左：回廊を見下ろせる外の席 右：ホテルのラウンジ並みにゆったりくつろげる屋内スペース

text&photographs:Yukie Muramoto