古代クリオン遺跡の
ローマ式野外劇場に圧倒される

エントランスの建物が高台にあり、ゆるやかな斜面に沿って遺跡が点在する。

 「クリオン遺跡」は、キプロス第2の都市レメソスの19キロ西の高台にある。クリオンは、紀元前13~12世紀に近東から渡ってきたアカイア人の居住地として発展した都市。

 一度繁栄した都市は4世紀の大地震で壊滅的な被害を受けたが、古代キプロスの、考古学上もっとも重要な遺跡が残されている。

今でも様々なイベントが催されるグレコローマン式野外劇場。ステージの背景に海を望むことができる。
ステージから観客席を見上げるとこんな感じ。

 なかでも、3000人あまりの観客を収容可能という半円形のグレコローマン式野外劇場は圧巻。紀元前2世紀のヘレニズム時代に造られ、紀元2世紀に拡張されたもので、古代遺跡でありながら今でも演劇やコンサートなどのイベントで使われている現役の劇場だ。古代には演劇や歌劇のほか、動物闘技などが催されていたという。

床のみが残されている「エウストリオスの館」は、屋根で覆われている。
中にはボードウォークが造られていてモザイクを見学しやすいようになっている。

 入り口近くにあるのは、巨大な屋根に覆われた「エウストリオスの館」。ここは、もともと住居だった建物が、1世紀後半~3世紀の初期キリスト教時代には公共リクリエーション施設として使われていたという。

 建物自体は残っていないが、5世紀に造られた浴場の床のモザイクは見事だ。ここには2種類の温度のサウナと水風呂があったという。

浴場跡のモザイク。4つのパートに分かれていて、そのうち2つは幾何学的なモチーフのみ。
円の中に描かれているのは、物差しを持つ若い女性キティシス。保存状態がよく当時の文化を窺い知ることができる。

 ほかにも、モザイクに描かれた人物から名づけられた「アキレスの館」「剣闘士の館」や、大理石の柱や大浴場跡が残されている3世紀初頭のローマ時代のアゴラ遺跡などを見学することができる。

 今回はそれらまで回りきることはできなかった。かなり大きな遺跡なので、時間に余裕を持って訪れたい。

Kourion Archaeological Site
(クリオン遺跡)

所在地 Kourion Archaeorogical Site, Lemesos
電話番号 25-934-250
http://www.visitcyprus.com/index.php/en/discovercyprus/rural/sites-monuments/item/2402-sites-monuments

2017.09.27(水)
文・撮影=たかせ藍沙