長い歴史に育まれた、薬都の名店

 薬膳で注目を集める富山市で、その道を究めた一軒として知られる料亭がある。

 郷土料理に薬膳食材を取り入れ、長い時間をかけて築き上げた料理世界は、まさしく独自のもの。おまかせコースで薬膳の奥深い世界をじっくり堪能していきたい。

越中富山の郷土の美味に薬膳を取り入れた老舗料亭

料亭 川柳

 約80年の歴史を誇る「料亭 川柳」の3代目・大島政文さんは、今から30年ほど前に日本で初めて本格的に和食薬膳に取り組んだ、この道の第一人者。当時はまだ薬膳は一般的でなく、先代からは猛反対されたという。

 しかし、飽くなき探究心をもって素材や調理法を研究した結果、「生薬を使っているのにくすり臭くない」「食べた次の日、調子がいい」――そんなお客さまの声が寄せられるようになり、今やお店の看板料理となっている。

 富山に伝わる郷土料理の豊かな世界に、食をもって未病を癒やす“食養”の教えを融合させた品々は、滋味と野趣にあふれる独自の味わい。地元では、健康長寿を願うお祝いの席に愛用されているそう。

 ついつい杯を重ねたくなる酒肴もふんだんで、百薬の長である富山の地酒とともに味わおう。

【料理の一例】

画像左:うるい くわい 菜の花 よしな むかご ゆべし
  全十数品のおまかせコースから、ごく一部をご紹介。和薬生薬を豆味噌の中に入れて干した5年ものの柚餅子(ゆべし)などをひと皿にして。
画像右:沙参湯葉 竹の子 わかめ
  滋養強壮にいいキキョウ科の生薬である沙参(しゃじん)エキスを取り入れたヘルシーな豆乳湯葉。身体がほっこりと温まる小粋な椀物。

料亭 川柳
住所 富山県富山市東町3-4-2
電話番号 076-425-2838
営業時間 11:00~22:00
定休日 不定休(年末年始は休業) ※要予約
交通 JR富山駅から車で約10分
URL ryoutei-senryu.jp

薬膳に必須!
生薬研究の最先端、富山にあり。

小松かつ子教授
薬学博士、富山大学 和漢医薬学総合研究所教授。生薬研究の立場から富山発信の「やくぜん」の普及活動にも参加。

「中国、韓国、インドなど、生活のなかに生薬の知恵が根付いている国はたくさんあります。残念ながら日本はそれらの国々には及びませんが、富山は伝統薬の歴史がある場所。温泉に入ったり薬膳を味わったり……、富山を旅行することで幅広い人々に薬草について興味をもっていただけたら嬉しいですね。」

photographs:Makoto Ebisu
Atsushi Hashimoto text:Shojiro Yano

この記事の掲載号

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在は異なる場合があります。