「デザイナー・建築家のお腹」と名付けられた食の企画が、ノルウェーのデザインハブであるDogA(ドガ=ノルウェー・デザイン&建築センター)で月1回開催され、業界人の注目を浴びている。

 ふだんレストランやカフェの空間デザインやインテリアを提案する立場にある建築家やデザイナーたちは、そのデザインプロセスの過程で当然の事ながらそのレストランで出されるメニューにも精通せざるを得ない。

左:第一回目のシェフとなった家具・プロダクトデザイナーのルーナ・クロックさん。トランスフォーメーターのシェフたちと打ち合わせをする 右:「約60食を同時にサーブする…これまで経験したことのない試みですが楽しんでます」とルーナさん

 クリエイティブ業界で活躍する彼らの多くは、食をデザインの一部として考えるのが常だ。彼らが、もしもシェフとしてお客さんに食事を出すとしたら……。そんなコンセプトのもとに企画されたこの夕食会は、建築家やデザイナーが自らキッチンに立ち、3コースディナーを出す。主催者はノルスク・フォーム(Norsk Form)とDogAのなかにあるカフェ・レストラン「トランスフォーメーター(Transformator)」。

黒板に書かれた本日のメニュー

 ノルスク・フォームはデザイン業界と建築業界をサポートする団体で、ふだんはデザイン業界をターゲットにイベントやセミナーを企画しているが、今回のこの試みは一般にも開放。夕食会は3コースで400クローネ、予約が必須だ。

 シェフとなるデザイナーはこの日ばかりはパソコンの前を離れ、シェフコートにコック帽といういでたちで、アシスタントシェフとの打ち合わせや仕込みで大忙し。

<次のページ> 第1回開催の結果と、今後への期待は?

text:Rico Iriyama
photographs: Riko Iriyama Adam Stirling/Kafé Transformator