伊勢海老、鮑、鮮魚、海藻と揃った、伊勢志摩の海の幸。料理人がそれぞれに腕を振るった料理はどれも個性に溢れ五感を刺激してくれる。気鋭の寿司店から、地元で長く愛される居酒屋、新しいフレンチまで、多彩な口福の数々。スタイルや雰囲気は違っても、地元ならではの美食を堪能できる顔ぶれが揃う。

» 第1回 全国に知られる江戸前寿司「こま田」
» 第2回 老若男女に愛され百年「一月家」
» 第4回 漁師が営む魚居酒屋「大家族」
» 第5回 鉄板フレンチ「ラ ターブル ダキ」
» 第6回 旬を盛り込む一皿「ココット山下」

郷土料理も揃う居酒屋は
たちまち満席の賑わいぶり

◆ 向井酒の店 (むかいさけのみせ)

左:手前から“造り盛り合わせ”(1,500円)、“山うどとまぐろの和え物”(900円)、“新たけのこのからし和え”(450円)、日本酒は鈴鹿川(600円)。
右:ヅケにしたまぐろに熱々の煎茶をかけた“まぐろ茶漬け”(900円)。

 伊勢二大居酒屋のひとつ「向井酒の店」(もう一軒は「一月家」)。ともに伊勢市駅の北側にあり、地元では東の「向井酒の店」、西の「一月家」と呼ばれる存在だ。大正時代には立ち飲みを併設した酒屋を営み、戦後に居酒屋となったという。

左:2014年に改装した「向井酒の店」は伊勢市駅から徒歩5分ほど。
右:カウンターの他に小上がりの座敷、テーブルなどがある。

 現在店を切り盛りするのは4代目・向井知章さん。和食の名店での修業を経て店に入ったという向井さんだけに、作る料理の加減とキレのいいこと。

左:料理を一手に担う向井さん。
右:お品書きは黒板に。

 料理はいわし酢漬やいかぬた新わかめ酢みそ、ぶりあら大根など旬の海の幸を使ったものから、鴨ロース炭火焼きやゆり根まんじゅうなどまで幅広く、ついつい酒もご飯も進む味わいだ。

左:“いわし酢漬”(350円)は昔からの定番料理。
右:“新たけのこのからし和え”(450円)。

 店を開けるのは16時。地元の常連や電車で帰る遠方の客で、たちまち満席になる賑わいぶりに名店の証を見るようだ。

向井酒の店(むかいさけのみせ)
所在地 三重県伊勢市宮後2-5-26
電話番号 0596-25-8335
営業時間 16:00~22:00(L.O. 21:30)
定休日 日曜、祝日の月曜
※予約可。最初の注文は各自で用紙に記入

Feature

美食の伊勢志摩で訪ねたい
地元の名店6選

取材・文=大和まこ
撮影=志水 隆