ダイアナ元妃没後20年
ケンジントン宮殿にて衣装展が開催中

 世界中に衝撃が走ったダイアナ元妃の死から今年、2017年の8月で20年。元妃が暮らしたケンジントン宮殿では、「Diana: Her Fashion Story」と題して衣装展を開催中です。美術館や個人コレクターから集められた25点が展示されています。

エキシビション会場の様子。
衣装のほかに、デザインスケッチやダイアナ元妃が表紙を飾った雑誌なども展示されています。

 ダイアナ元妃といえば、チャールズ皇太子の元妻にしてウィリアム、ハリー両王子の母、積極的な慈善活動で知られるばかりでなく、各国で写真集が発売されるなど、世界のファッションリーダーでもありました。その存在は、まさに文字通り一世代前のキャサリン妃と言ってよいでしょう。

 今回のエキシビションでは、地方の貴族の出身とはいえ、プリンセスというよりは政治家のような地味な服装だった10代の元妃が、ロイヤルファミリーの一員として花開き、母として、社会人として、そしてひとりの女性として成長していった過程を、彼女の衣装を通して振り返ることができます。

左:婚約前の10代だったダイアナ元妃が社交界デビューの際に着用したドレス。当時の貴族階級の間で人気の高かったデザイナー、レガメスの手によるもの。(C)Historic Royal Palaces, Richard Lea Hair
右:まだフワフワとした若き日のダイアナ元妃のイメージが体現されたようなエマニュエルのブラウス(1981年)。婚約発表の写真で着用したもの。(C)Historic Royal Palaces, Newsteam

 世界中からそのファッションを注目されていた元妃でしたが、結婚前、チャールズ皇太子とのデートの際には、ほとんど洋服を友人から借りていたというくらい、服装にお金をかけることをあまりしなかったそう。

1981年、スコットランドの田舎に新婚旅行に行った時に身につけたビル・パシュレイのデザインによるツイードのスーツ。ダイアナ元妃はサイズ違いで2着同じものを用意しましたが、アウトドアで活動しやすい肩周りの大きい方を好んだとか。(C)Historic Royal Palaces, Richard Lea Hair

 結婚が決まって、フワフワとした夢の世界のお姫様のようなブラウスやドレスから始まり、当時の流行に後押しされた、かっちりとしたボックス型のドレスやスーツへ、そしてグラマラスな女性らしいドレスへ、さらにチャリティの仕事に深く関わるにつれて仕事着としてのスーツへと移行していく様が見て取れます。

左:ブルース・オールドフィールドのデザインによるサテンのドレス。90年にロンドンのThe Courtauld Institute of Artを訪れた際に、また91年にバッキンガム宮殿のバンケットでも着用されたもの。(C)Historic Royal Palaces, Richard Lea Hair
右:キャサリン・ウォーカーのデザインによるテールコートとドレス(1990年)。あらゆる角度から写真を撮られることを意識してデザインされたもの。(C)Historic Royal Palaces, Richard Lea Hair

文・撮影=安田和代(KRess Europe)