世界でも人気の和食ですが、これまで海外では和食と言えば「寿司」「天ぷら」ぐらいしか知られていませんでした。

 しかし近年、様々な食材をバランスよく取ることができ、また、味噌や醤油などの発酵食品や、きのこや海藻など健康に良いとされる食材を多く使う和食は、健康食としても大いに注目を浴びています。

トロの握りからインスピレーションを受けたマグロのトロを使った料理「Tonno“TORO” e patate」。名前にも”トロ”とついています。

 イタリアでも、食をテーマとしたミラノ万博以降、日本の食材が入手しやすくなり、以前より少し身近なものになりつつあります。そんな和食の新たなムーブメントは、センス豊かなイタリアンシェフたちにもインスピレーションを与え、和の食材を取り入れた様々な新しいメニューが生まれています。

 今回はイタリアから、和の食材に出会ったイタリア料理のレポートと、さらに家庭でも簡単にできる和の食材を使ったイタリア料理のレシピを、現役シェフから教わります。

和食材がイタリア料理に出会ったら

 もともと食材のおいしさは世界有数のイタリア。そこへ、味への豊かな創造力と感性を持つシェフたちが加える和のテイストは、意外にも見事にしっくりと融合し、今までにない奥行きを持つおいしい一品になっています。

左:「イカとアサリのアーモンド ブロッコーリークリーム添え」。クリームには隠し味に醤油が加えられています。
右:モヒートをシャーベットにして添えたサーモンのマリネ。カクテルをシャーベットにするアイディアと、さっぱりとしたシャーベットとサーモンの相性の良さに脱帽。

 使う食材としては、わさびや生姜などのスパイス類。それから、風味付けに醤油を少し加えていたり、さらには昆布だしを取って使っているというシェフまでいます。それらは、和を前面に押し出すのではなく、イタリア料理のなかに、ほんの少し香りを添えたり、スパイシーなテイストを加えたりするために使われており、2つの世界は皿の上で、見事にひとつになっているのです。

 といわれても、きっと具体的に想像がつかないでしょうから、日本のみなさんにも味わってもらうべく、実際にお家で簡単に作ることができる和・伊融合のレシピを、現役シェフに教えてもらいましたのでご紹介致します。

文・撮影=藤原亮子