Friday 14 September 2018 Related Museum チームラボがパリで繰り広げた “境界のない世界”の全貌とは? Related Museum ルーヴルのピラミッドの中央で輝く 名和晃平の彫刻に込められた意味は Related チョコをつけて食べるチュロスが絶品 パリで大評判の実力派パティスリー Related 艶文字ひらがなを使った “魅せる一筆箋テク”で自分を印象づける! 戦後を代表する前衛書家の足跡とは? パリ日本文化会館に掲げられる「ジャポニスム2018」と井上有一展のポスター。 紙と墨という伝統的な材料と技法を使い、全く新しい現代的な書の表現を創り出した井上有一の個展「井上有一 1916-1985 -書の解放-」が、国際交流基金パリ日本文化会館で開催されている。 パリ日本文化会館で開催の井上有一展。その力強さに圧倒される。 井上有一は1916年東京生まれ。幼い頃から絵が得意で、画家になることを目指して、教師をしながら画塾や研究所で学ぶが、画の道を諦め、25歳の頃より、書に転じる。 そして、書芸術の革新と現代書芸術の確立を目的とした「墨人会」の創設メンバーとして、1940~50年代にヨーロッパで起こった抽象表現を中心とする美術の潮流とともに、新しい時代の書を目指し、その前衛的な作品で注目を浴びる。 井上有一の書を象徴する作品。向かって左から《円》(1968年制作)、《無我A》(1956年制作)、《刎》(1980年制作)。 展示会場に入ると、太い筆を使い、力強く書かれた作品が目に入る。 まず現れるのが、有一を代表する《円》《無我A》《刎(ふん)》の3作品。1957年の第4回サンパウロ・ビエンナーレに出品された《無我A》を中心に、向かって右に、首をはねるという意味の漢字《刎》と、左に薄い墨で書かれた《円》。 《無我A》は、抽象絵画の影響を受け、文字という形態を捨てた作品を書いていた有一が、そこから新たに脱却して、もう一度、漢字を用いて書いた作品。 《刎》は、70年代後半に自分の体が病にかかっていることを知った有一が、一日一日、絶筆をなすような気概を持ち、自ら首をはねるほどの決意で制作をしているという意思表明の書でもある。 《円》は、円が持っている調和や物事のバランスを書で表している。 一字書。上段は《花》(1957年、1967年制作)、下段は《愛》(1972年、1973年制作)。