「箱根の山は天下の険」と歌われたのも今は昔。

 メルセデス・ベンツの最新のオープンカーは、快調に箱根の山を登っていく。それでも、湖の美しさに心を打たれ、温泉に癒やされるのは、今も昔も変わらない。

» 第1回 箱根周辺のドライブを颯爽と楽しむ
» 第3回 新しい文化を発信するモダンなカフェ
» 第4回 隠れ家のごとき奥湯河原の大人の宿

信仰の場とモダンなカフェ
新旧二つの箱根の顔

 箱根神社は古来、山岳信仰の対象として人々の信心を得ていた。その凜とした空気は、当時をしのばせる。九頭龍伝説が生まれた芦ノ湖の美しさも、変わっていないはずだ。一方で、温泉街は、少しずつ表情を変えている。モダンなカフェが生まれるなど、活発に新陳代謝をしているのだ。このシリーズでは、変わらない箱根と変わりゆく箱根、二つの顔を紹介したい。

 まずは、絶景と信仰の名所から。

■芦ノ湖
火山活動が生んだ、奇跡の美しさ

箱根ターンパイクの出入り口、大観山から芦ノ湖と富士山を望む。

 約3100年前、箱根山の最高峰である神山が水蒸気爆発を起こした際に、土石流が早川をせき止めた。これによって生まれたのが芦ノ湖である。観光シーズンになると遊覧船や釣り船が行き交うが、遠景では青々とした水を静かに湛えている。

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撮影=柏田芳敬
文=サトータケシ