東南アジア、ボルネオ島の北西部、南シナ海に面した小国、ブルネイ。
立憲君主制のイスラム教国で国民はハサナル・ボルキア国王を敬愛し、政治は安定している。経済も、豊富な石油、天然ガスを背景に長い間高水準を維持してきた。犯罪や自然災害も少なく、ブルネイには今も昔も変わらず豊かでゆったりとした時が流れる。ゆとりのある国民の笑顔は、旅人の心も癒やす。また、国土の6割を占める熱帯雨林のおかげで、空気の質の良さは世界1位、水資源の質も世界2位という、内も外も美しい国なのだ。
今年は、日本がブルネイと外交関係を結んで30周年。この間、ブルネイにとって日本は最大の貿易相手国であり緊密な経済関係を続けてきた。そんな我々にとって“親しい国”ブルネイを知るために、海を渡ってみた。
国名:ブルネイ・ダルサラーム国
首都:バンダル・スリ・ブガワン
総面積:5765平方キロメートル
人口:約39.9万人
公用語:マレー語(英語も通じる)
宗教:国教はイスラム教(信仰の自由は保障)
通貨:ブルネイ・ドル(シンガポール・ドルと等価)
1ブルネイ・ドル≒81円(2014年5月現在)
時差:日本時間-1時間
電話(国番号):+673
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この国の幸福を保障する国王を愛してやまない国民たち
「癒やされる」「空気がきれい」「笑顔が印象的」、日本を発つ前に仕入れた情報を確かめるのに、長い時間は必要なかった。乾季に入ったばかりの3月、優しい陽射しと煌めく海に加えて、たくさんの温かみのある笑顔が、旅人を出迎えてくれた。
どこを見回しても、走っている人や喧嘩をしている人はいない。もちろん酔っ払いも。ここは敬虔なイスラム教国。アルコールの売買は禁止されている。そのためか、夜は早くから静けさに包まれる。街中で夜でも存在感を放つのは、ふたつのモスクだけだ。
市民の暮らしぶりを見たかったら、ブルネイ川に浮かぶ水上集落に行ってみるといい。全国民約40万人のうち2万人がここに暮らしている。理にかなった風通しのいい家でボートのエンジン音を聞きながら、素朴なお菓子を味わい、年に一度配布される王室アルバムを眺めていると、いつの間にかブルネイタイムに身を委ねている自分に気づくに違いない。
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文=CREA Traveller編集部
撮影=杉山拓也
コーディネート=清水典子(フレーミートラベルサービス)