マリアージュを本気で考える仕掛けが随所に!

すべての商品には、マリアージュを含めた詳しい情報が書かれたカードが添えられている。ワインのカードには、いちばんおいしく飲める温度と、適切なグラスタイプを記載。ボトル形のイラストとその上部の小さな丸は、風味ごとのシンボルマーク。ここを見れば「まろやかでフルーティな味わい」「ミディアム・ボディ」といったことが分かる。

 ワインの並べ方にも一工夫あり、リオハやリベラ・デル・ドゥエロなど原産地による通り一遍の分け方にはなっていない。軽くさっぱりした味わいなのか、しっかりしたボディの熟成された味わいなのか、その度合いでグループ分けされ、それぞれの特長を色彩とイラストをうまく使ったシンボルマークで表示している。品ぞろえにも個性が感じられ、どこにでも売られている有名ブランドはほとんど見当たらない。おいしいのにあまり知られておらず、かつ値段も手ごろなワインを各地から探し出してきているそうだ。約9割はスペインワインで、そのうちの半分は地元カタルーニャ産が占めている。

メストレス(Mestres)社がつくった、マグロ料理にぴったりのカバ(スパークリングワイン)、その名も「Blue Fin」。マリアージュはもちろんマグロのオイル漬け。マグロといえば日本、ということか、日本語で「マグロに最高のスパークリングワイン」と書かれている。デザインも一風変わっており、お土産におすすめの1本。
チーズの盛り合わせ11ユーロ。「あっさり」タイプから「こってり」タイプまで5段階、オリーブ入りパンと一緒に。イートインの場合は、ワイン1本につき3.5ユーロ、おつまみ・食事は値段の20%がプラスされる。

 この店のもうひとつの特長は、すべての商品をその場で食べられること。つまりショップスペースで「このハム30グラムとこのチーズ50グラム、それにこのワイン」というように選べば、それを併設のレストランスペースでサーブしてくれるのだ。もちろんきちんと盛り付けされ、ワインも適温で提供される。たくさんの種類があるハムやチーズ類からどれを選べばよいか迷ったら、おまかせの盛り合わせを頼むのもいい。メニューには数種類のボカディージョ(バゲットサンド)もあるほか、昼食時にはセットコースも設定されているので、ちょっとつまみたい時からしっかり食事したい時まで、幅広く利用できる。このお店のコンセプトにたがわず、いずれのメニューにもそれに合わせたワインが用意され、グラスで頼めるようになっている。ワインと食材の組み合わせは、何も高価な料理だけの話ではない。2.6ユーロのボカディージョを1.5ユーロのグラスワインといただく。いいマリアージュなら、それだって、おいしさは倍増するのだ。

入口(写真左手)から入って右側にレストランスペース、左側がショップスペース。

Marídame
所在地 C. Santaló, 1 08021 Barcelona
電話番号 +34-936-242-757
URL http://www.marida.me/
営業時間 月~金曜日 9:00~21:00
     土曜日 10:00~14:30、17:30~21:00
定休日 日曜日

坪田みゆき(つぼたみゆき)
バルセロナ在住、コーディネイター。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)イスパニア語学科卒。在東京スペイン政府観光局勤務などを経て、2004年よりバルセロナ在住。バルセロナ、バレアレス諸島(マヨルカ島他)、バスク地方などを中心に、スペイン全土の取材・撮影コーディネイトの他、通訳・翻訳業務も行っている。http://spainbcn.exblog.jp/

 

Column

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文・撮影=坪田みゆき