この記事の連載
◆『山と食欲と私』信濃川日出雄/新潮社
週末になるとひとりで山に登り、自炊を満喫する「単独登山女子」のOL、日々野鮎美。そんな彼女の気ままな山ライフを描く登山グルメストーリー。
「山ガールが主人公の作品。鮎美ちゃんが作る山ごはんは簡単ながらも工夫がいっぱいでおいしそう! 読むと登山したくなり、山ご飯を食べたくなります!」(すず木さん)
◆『レタイトナイト』香山哲/トゥーヴァージンズ
生きるための旅をテーマに、力を持たざる者たちの冒険と、細かな暮らしのプロセスを描く異世界ファンタジー。
「本作はレタイトに住む少年が、生活に苦しむ人々や街に漂う閉塞感から、『何かがおかしい』と感じて、外の世界を見るために旅立つ物語です。グルメマンガではないのですが、旅先の食堂で『野菜もち』とか『麦ディスク』とか『みどり移し豆』とか、たくさんのマリム(定食)が出てくるんですよね。それが素朴だったり、ミールスっぽかったりするんです。香山さんの絵の魅力も相まって、全部めちゃくちゃおいしそうで」(山脇さん)
◆『雨がしないこと』オカヤイヅミ/KADOKAWA
雨ちゃんは恋をしない。凝り始めると同じ料理ばかりを作り続ける。花山雨という女性をめぐる群像劇。
「グルメマンガとは違うんですけど、グルメというか、料理を描く場面がすごく食欲をそそるんですね。主人公の花山雨が料理好きという設定で、自家製トルティーヤでタコスを作ったり、手作り焼売を蒸したり、揚げ立てのオクラ天蕎麦とか、丁寧に暮らしている感じが出ている食事は、読んでいて楽しい」(三浦さん)
2024.09.06(金)
文=大嶋律子(Giraffe)