百塔がそびえる古都プラハを離れ、美しい自然に囲まれた郊外の町へ行ってみよう。そこには、みんなを笑顔にするノスタルジックな風が流れている。

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カレル・チャペックが愛したスタラー・フチの森に行く
STARÁ HUŤ

 見所いっぱいのプラハもいいけれど、チェコの魅力は何にもない小さな田舎町にもある。観光スポットは少なくても、のどかな空気に触れるだけで、すっかり癒やされそう……。

国民的作家が愛した静かな湖畔の森

静かな木々に囲まれたスタラー・フチの家。カレルとオルガは“夏の邸宅”として、この地を愛した

 チェコの国民的作家といえば、カレル・チャペック。兄のヨゼフと共にチャペック兄弟として活躍し、「ロボット」という言葉を初めて使ったのも彼ら。可愛い子犬との暮らしをつづった『ダーシェンカ』をはじめ、日本でもロングセラーとなった作品が多く、世紀を超えて愛されている。

 現在、チャペック兄弟の記念館が生まれ故郷であるポーランド国境に近い山間の小さな村にあるほか、プラハ近郊のスタラー・フチには、カレルの記念館が森の中に佇む。

 1936年、女優オルガとの結婚の記念に古い屋敷と土地を譲り受けたカレル。『園芸家12カ月』の著書もあるように園芸好きだった彼は、庭の修復と手入れに精を出し、その傍らで代表作『山椒魚戦争』などを執筆した。しかし、この場所を愛したゆえに、彼は命を落とすことになる。嵐と洪水から庭を守ろうと無理したことがたたって1938年、肺炎でこの世を去った。わずか3年だったがカレルとオルガが過ごした場所は、今は静かな記念館となり、彼らを慕う人々が訪れる。

【Access】
プラハ中央駅からドブジーシュ(Dobříš)行きのローカル列車でスタラー・フチ(Stará Hut')駅まで約1時間45分。駅からカレル・チャペック記念館までは徒歩約30分

<次のページ> 赤い屋根が可愛いカレル・チャペック記念館

橋本 篤=写真
矢野詔次郎=構成・文
クレメントゆみ子=コーディネート

この記事の掲載号

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