この記事の連載

 登録者数35万人超のYouTubeチャンネル『GOROGORO KITCHEN』で、パリを中心としたフランスでの暮らしの情報を発信するMamikoさん。初の著書『心満たされるパリの暮らし』から、くいしん坊のMamikoさんならではの食に関するエッセイをお届けします。


やっぱりフランスは美味しい。パリの美味なるパン

 ご存じの通りフランスはパンの国です。しかしフランスに来る前の私は、実はパンにほぼ興味がない人間でした。

 中学生の頃からダイエットのためにパンは避けてお米を食べるようにしていたので、気づけば断然ごはん党の人間に成長。ロンドンに2年住んだ際もヨーロッパで手に入る、それなりに美味しいお米を見つけて主食にしていたため、パリにやって来てからもそのままお米ライフを続けていました。

 そんな私のパン意識を変えたのは、入居時に大家さんから「ここはとても美味しいよ」と教えてもらった近所のパン屋さん、ピシャール。今では閉店してしまいましたが、当時はメディアでも多く取り上げられていたほどの有名店。それが、家から歩いて1分の場所にあったのです。

 毎日の長蛇の列を見るにつけ、そんなにすごいなら一度食べてみようと思いつきました。まだフランス語もたどたどしかった頃だったので、後ろに並ぶ人たちからのプレッシャーにドキドキしつつもクロワッサンを購入。家で食べてみると……「なんじゃこりゃ!」。外側はパイのようにサックサク、でも中はしっとり柔らかでバターの香りがぷわっと広がる。確かにフランスのパンは別格だわ、と納得しました。

 クロワッサンの美味しさに味をしめて、次はバゲット購入にも挑戦。ただ、一人暮らしにバゲット1本はちょっと多いのよね、と躊躇する部分もあったのですが、あるとき、年配のムッシューが2分の1本を購入しているのを発見。半分だけ買うのでもいいと知ってからは、ぐっとハードルが低くなりました。

 さらにこの国のパンにすっかり魅了される要因となったのが、トラディションの存在です。パリ暮らし1年目に通っていた語学学校では自由選択科目があり、私は迷わずフランス食文化の授業をチョイス。そこで知ったのが、日本でフランスパンと呼ばれる細長いパンには、バゲットとトラディションという2種類があることでした。

2023.04.23(日)
Text=Mamiko Izutsu
Photographs=Yas