#260 Iriomote Jima
西表島(沖縄県)

 「西表島」と書いて、「いりおもてじま」と読みます。それすら知らなかった大学生時代、この島を訪れて、先の人生が変わるなんて思ってもみませんでした。

 西表島は東京から南西に2000キロほど、八重山諸島のひとつで、面積は約289.3平方キロメートル。沖縄本島に次いで大きく、日本全体からすると12番目のサイズになります。人口は2,426人。人の暮らしよりも大自然の方が優勢な島です。

 西表島には特別天然記念物のイリオモテヤマネコやカンムリワシに代表される固有種をはじめ、4,857種もの生物が生息しています。ちなみにヤマネコが生息する島としては世界最小なのだとか。

 島の約9割が亜熱帯性の原生林、海のそばまで山裾が迫っています。サンゴ礁広がる海や、国内最大かつ日本のマングローブ7種がすべて分布するマングローブ林の汽水域、ジャングル覆う山岳地帯など、多様な自然環境が揃っています。

 自然環境のバリエーションが豊富なことに加え、太古の海進期にも水面下に完全には沈んでしまわずに生態系が守られたことも、西表島の豊かな生物多様性の裏付けとなっています。

 西表島には飛行場がありません。周囲約130キロと、かなり大きな島なので、西部と東部に2つの港があります。石垣島の離島ターミナルから高速船で、西部の上原港まで40~60分、東の大原港まで約35~40分。

 今回は、西部の上原港から上陸です。

 はじめて西表島に訪れた時は船浦港でした。大学のスクーバダイビング部の合宿で、一年の総仕上げとして西表島を訪れるのが恒例行事だったのです。その時、水平線と雲の底の距離が近くて、パイナップル畑の上の空の広さに圧倒されたのを覚えています。

2022.11.05(土)
文・撮影=古関千恵子