ハワイ原種のサトウキビを使い、昔ながらの製法にこだわる「コ・ハナ・ラム」

 ワイアナエ山脈とコオラウ山脈の間に広がるクニア地区で、昔ながらのラム酒を醸造している「コ・ハナ蒸留所」。

 創業者のロバート・ドーソンさんは、もともとはベルギー出身。ハワイに移住するにあたってハワイに貢献できることをしたいと考え、農業を志そうと決意するものの、さて何を作ろう?

 そこでたどりついたのが、おそよ1500年前にポリネシアの島々から運ばれた“カヌープランツ”のサトウキビ。調べていくうちに、ハワイではいろんな儀式でサトウキビが使われることもわかりました。

 なかでも“ハナ・アロハ”という愛の儀式では、マヌレレ(サトウキビの種類)のジュースを二人で飲むと、二人は一生離れない、と信じられていたとか。それを知り、ロバートさんは自分とハワイの関係に、共通するものを感じます。

 それからサトウキビの研究がスタート。ハワイ各地を回り、サトウキビの原種を採集。サトウキビを蘇らせることで、ハワイ文化を取り戻すことが、ロバートさんの夢になりました。やがて多くの人にラム酒を飲んでもらい、ハワイ文化の豊かさに気づいてもらえたら、と。

 かつてデルモンテ社の労働者向けのゼネラルストアだった建物を修復し、コ・ハナ蒸留所を2015年開業。

 ハワイの原種である34種のサトウキビを栽培し、手作業で収穫。糖蜜を加えることなくフレッシュジュースから造る、昔ながらのアグリコール製法を採用しています。この製法によるラム酒は世界でもわずか2%ほど。

 3~4カ月ごとにサトウキビの原種の種類を変えて、製造。年に1度、34種の原種すべてをブレンドした「コレクションシリーズ」も販売しています。

 コ・ハナ蒸留所では、クリアな「ケア」、樽で熟成させた「コホ」、カカオや蜂蜜のフレーバーを加えた「ココレカ」が、基本の3タイプ。樽での熟成期間や、樽の材質やチャーリングの有無などで、様々なフレーバーを生み出しています。

 珍しいのは、熟成させるコホの中でも貴重なコアウッドの樽で寝かせたもの。ハワイならではのテイストといえそう。

 ラム酒以外にも蜂蜜やチョコレートなどのラインナップも。また、ボトルにメッセージを彫ることもでき、記念のお土産に喜ばれそうです。

コ・ハナ蒸留所
Ko Hana Distillers

所在地 92-1770 Kunia Rd #227 Kunia, HI 96759
電話番号 +1-808-649-0830
https://www.kohanarum.com/home

2022.10.09(日)
文・撮影=古関千恵子