一期一会の島食材を希少な酒とともに嗜む

◆四季菜割烹  伝(しきさいかっぽう でん)

 華やかな色絵皿の中で存在感を放つ、圧巻の刺身の盛り合わせ。多い時には10種以上もの魚が一堂に会するというから、この一皿だけでも佐渡の海の豊饒さを実感できるだろう。

 店主の曽我真人さんは佐渡出身だが、ご夫婦ともに東京の日本料理店で長らく経験を積み、知識と技を携えて郷里に戻った。

 無理をすればなんでも手に入った東京時代とは異なり、皿にのぼるのは、今まさに旬の島食材だけ。そのスタンスが新しい料理を生み出している。

 島の夏の風物詩である飛び魚は梅しそ揚げにして、脂ののった旬魚を梅でさっぱりと。

 肉厚の鯖を締め、香ばしいごま入りのシャリごと焼いた“焼鯖棒寿司”は〆の食事にしてもいいし、酒の肴にもいい。

 農家でもある実家で作った干し柿はドライフルーツとしてチーズに合わせるなど、島食材が様々な料理に生まれ変わる。

 訪れる度に食べられる食材は変わってゆき、四季の移ろいが料理と呼応する。それこそが、島ごはんの醍醐味。

四季菜割烹  伝(しきさいかっぽう でん)

所在地 新潟県佐渡市畑野126-5
電話番号 0259-67-7161
営業時間 17:00~22:30(21:30 L.O.)、平日のみランチ11:30~13:30
定休日 日曜
https://ja-jp.facebook.com/四季菜割烹-伝-765455386910635/

Text=Kaori Minetsuki
Photographs=Jun Hasegawa