③妖怪を通して浮かび上がる「日本」のカタチ

「妖怪」という響きに心を惹かれる人は僕だけではないはず(100巻を超える『水木しげる全集』を30代ですべて集めたのは僕ぐらいでしょう)。

 言葉や科学だけでは説明がつかない、現実と空想の狭間からヒョロリと現れる「妖怪」。これだけたくさんの光が地球上を照らす現在でも、妖怪たちは“言葉に出来ない何か”をその体内に内包し息づいています。 

 シンガポール出身のホー・ツーニェンもそんな妖怪に心惹かれた一人です。『ホー・ツーニェン 百鬼夜行』はホーの日本をテーマとしたプロジェクトの第3弾。この展示では、奇怪かつ滑稽な100の妖怪たちを通じて「日本」の歴史や精神史の考察を試みています。

 妖怪の姿で描かれているものの中には、第二次世界大戦中に旧マレー連邦で活動した日本人の姿が。「マレーの虎」の異名をとる山下奉文大将、「怪傑ハリマオ」のモデルになった谷豊、その周囲で暗躍した軍人やスパイ、当時の思想家……。

 妖怪という存在を通じて日本、日本人を見つめなおすことで、第二次世界大戦を含む複雑な日本の歴史、さらには日本という国そのものの精神性が浮かび上がってきます。

 一見ポップにも見えるアニメーションの背景にある「日本」に思いを巡らしてみれば、これまで自分の気づかなかった“何か”が見えてくるかもしれませんよ。

『ホー・ツーニェン 百鬼夜行』

会場 豊田市美術館(愛知県)
所在地 愛知県豊田市小坂本町8丁目5−1
会期 10月23日(土)~2022年1月23日(日)
開館時間 10:00~17:30(入場は17:00まで)
休館日 毎週月曜日(祝日は除く)、年末・年始(12月27日(月)~2022年1月4日(火))
入館料 一般1,000円、高校・大学生800円、中学生以下は無料
※詳細についてはWEBサイト(https://www.museum.toyota.aichi.jp/)をご確認ください。

④Tシャツの裾を入れるべきか入れないべきか

 Tシャツの裾を入れるべきか入れないべきか。To be, or not to be, that is the question.

 1980年代生まれ・青森育ちの僕からすると、その問題は中学生時代に訪れました。それこそ生死を分かつ問題として。当時はTシャツをタックインするなんてことはご法度。好きな女の子にそんな姿を見られたら「ダッサ」のひと言とともに、階級をいくつか落とされる刑に処される始末。

 その印象は今でも強く、令和のこの時代、若者たちが華麗にタックインする姿を横目で見ながらも、騙されてるんじゃないかとの疑念がぬぐい切れないのは悲しい性です。

 一体全体、いつからタックインとタックアウトが交錯するようになったのか。そんなスタイルの変化を研究した高畑鍬名の個展が新宿眼科画廊で10月29日(金)から開催されます。

 高畑は2004年に園 子温監督の映画『紀子の食卓』で衣装助手として参加、2014年に「日本人とシャツのすそ―東京の若者たちはいつからTシャツのすそを出しはじめたのか―」というテーマで修士論文を執筆した、タックイン研究者。

 自分のこれまでと照らし合わせながら展示を見つめるのも良し、トレンド変化の実態を見ながら思いを馳せるのも良し、自分のスタイルを改めて確認するも良し、社会の空気感がどう醸成されるか興味ある人必見の展示です。

 あなたはタックインして展示を見に行きますか? それともタックアウト?

『1991年の若者たちがタックアウトしたTシャツを2021年の君たちは』

会場 新宿眼科画廊
所在地 東京都新宿区新宿5-18-11 スペース地下
会期 10月29日(金)~11月3日(水)
開館時間 12:00~20:00(水曜日~17:00)
休廊日 木曜日
https://www.gankagarou.com/show-item/202110quanahtakahata/

⑤feel so 台湾

 緊急事態宣言が解除されたとは言え、まだまだ海外旅行は先になりそう。

 そんなあなたに台湾気分を堪能できる美味しいお店をご紹介。ところは東京代々木八幡、折しも朝のうち。駅から5分ほどの場所にある「押競満寿(おしくらまんじゅう)」です。9時からやっているというのが嬉しいですよね。

 ファニーなお相撲さんたちを見つけたら、そこが「押競満寿」です。店の中には台湾屋台を彷彿とさせるキッチンが! 現在は朝9時~17時までの営業で、朝食が14時まで、14時以降は喫茶の営業となっているようです。

「豆乳スープ&揚げパン」「台湾粥セット」「ルーロー飯セット」などメニューも魅惑的! 僕は店名でもある押競定食を頼みました。

 おかずの種類も豊富だし、すべての料理が滋味深い……。単なる食事ではなく、活力をもらえる食事という味わい深さです。コーンスープがなんだか台湾を想起させてくれますよね。

 家の近くにあったら死ぬほど通うのに、、、是非とも幡ヶ谷(笹塚も可)に出店を希望します。台湾好きや近くにいる人は是非行ってみて。元気をもらえるはずですよ!

押競満寿

所在地 東京都渋谷区元代々木町25-5 
営業時間 09:00~17:00(朝食:09:00~14:00 喫茶:14:00~17:00)
定休日 月曜日
Twitter @osikuramanju_
Instagram @osikuramanju.hachiman

Column

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興味あることは沢山あるけど、「To Do List」じゃ重すぎる、スローなウィークエンドにしてほしい。そんなあなたのために、ゆるーい週末の過ごし方ガイドをCREA編集部が5つピックアップしてみました。

もちろん、今週末は部屋でゆっくり寝て過ごしちゃう、なんてのもOK。だって、週末はまた来週もやってくるんだから。

2021.10.28(木)
文=CREA編集部