「バカカッチョいい!」と圧倒された劇団☆新感線

 10代のころは、所属事務所が運営する俳優養成所で芝居を学んだ。2018年に連続テレビ小説「半分、青い。」や「ホリデイラブ」などで注目されるまでは、舞台で実力をつけてきた印象がある。でも、中村さんが実際に生の舞台を観たのは、事務所に所属してからだった。

「事務所の先輩が出演されている舞台を、勉強も兼ねて観に行っていました。一番勉強になったのは、高3の夏(2004年)に、彩の国さいたま芸術劇場で上演された、『お気に召すまま』という作品。

 夏休みだった僕は、事務所の先輩の付き人みたいなことをしていたんです。現場に行くまでの移動中に相手役のセリフを言ったり、稽古の様子をビデオ撮影したり。演出が蜷川(幸雄)さんだったので、ダメ出しを聞くだけでも、ためになることだらけでした」

 同じ年、通っていた俳優養成所の同期の家で、劇団☆新感線の「髑髏城の七人」(1997年上演)のDVDを観た。“いのうえ歌舞伎シリーズ”と呼ばれ、古田新太さんが主役と敵役の2役に扮したエンターテインメント感満載の冒険活劇。溢れるエネルギーに圧倒され、シンプルに「バカカッチョいい!」と思った。

 そこから12年後、憧れの新感線から、出演のオファーがきた。生田斗真さんが主演する「Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~」。劇中、オリジナルのROCKの楽曲が生バンドで演奏され、歌楽曲が多数ある“Rシリーズ”と呼ばれるジャンルだった。

2021.10.16(土)
Text=Yoko Kikuchi
Photographs=Satoru Tada
Styling=Arata Kobayashi
Hair & Make-up=Emily

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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