年齢を重ねることも今は面白くて

――先ほど30歳くらいで生活に興味を持ってきたと話されていましたが、その辺りで意識としての変化もありましたか?

 ありましたねぇ。鳥取の田舎から東京のコンクリートジャングルに憧れて上京して、20代は渋谷に行って東京の人みたいになったことが楽しかったというか。

 地方出身だということが恥ずかしくて、20代前半は(出身地を)隠してたんです。全然隠せてなかったですけどね?(笑)

 けど、段々と人混みが苦手になってしまって、私はやっぱり田舎者だったんだと。しかも、それは恥ずかしくないことなんだということに気づきました。

――あと、これを食べたらこうなるというように、歳を重ねると体の変化が実感できるようになりませんか?

 たしかに、自分のことがよりわかるようになりますよね。人それぞれだから、他の人が合うものでも、自分に合わないものもあったりして。そういう反応ひとつひとつが面白いですし、興味を持つと教えてくれる人がどんどん増えてくるんですよ。

 例えば、通うことになったジムのトレーナーさんが体を動かすだけじゃなくて体の中身についていろいろアドバイスをくれる人だったりして。で、その人が紹介してくれたところで遺伝子検査してみて、遺伝子レベルで自分には何が合って何がダメだったのかを知れたりする。興味が広がると、人と人がつながっていくんですよね。

これまで通り、人との出会いを大切にしたい

――イモトさんは人との関わりをすごく大事にされている印象ですが、人との付き合い方、距離感はいつもどんなふうにされているんですか?

 プライベートでは一対一で会うことが多いですね。だから一回ロックオンすると、男女問わず深く長く付き合っていくのかもしれない。誰にでもそうするわけではなく、ただ自分がこの人好きだなぁ、と思った人にしかこれがまたできないのですが(笑)。

 わたし、好きな人には楽しんでほしいし、どうしたらこの人に喜んでもらえるんだろうっていつも考えてしまうんです。あと、人から薦められたものは一度試しにやってみることにしてるんですけど、そうするのも好きな人たちが喜んでくれると思うから。

 この人はどうしたら喜んでくれるんだろうって考えることが好きですし、そういう時間がすごく楽しいんですよね。以前、友人が「誕生日プレゼントは、もらったものが嬉しいっていう気持ちもあるけど、選んでくれた時間を想像するとより嬉しくなる」って言ってくれたことがあったんです。

 今のように人となかなか会えない状況でも、人を思いやることはできる。そういう時間を、WEBマガジンを通して多くの人と共有できたら嬉しいですね。

――人との出会いは、これからも変わらず大切なことだと。

 はい。それはいちばん大事なことなので、WEBマガジンでも今の状況が落ち着いたら、会いたい人に話を聞きにいったりしたいなと思っています。なんだか、わたしこの先いい人に出会える気がするんです(笑)。

 それから、やってみたいとか作ってみたいとか、きちんと言葉にしていきたい。以前まで、やりたいことは内に秘めていればいいと思ってたんですけど、人と出会った時にやりたいことについてお話しすると、ふとしたタイミングでアドバイスをくれる人や協力してくれる人が現れるんです。だから、今までの経験を信じて、これからもいろんな人と出会っていきたいなと思います。

――先日、『イッテQ!』で妊娠も発表されましたね。出産を控えた今の心境を少し聞かせていただいてもいいですか?

 もちろんです! 好きなコーヒーをやめたり、ジムに行かなくなったりっていうちょっとした変化はあるんですけど、ここ数年で生活を整えていたこともあって、割と穏やかに過ごしています。

 つわりもあったんですけど、いろんな人の話を聞くと軽かったほうなのかなって。けど、あの真っ只中だったら、めちゃくちゃ辛かった! とお話ししていたと思います(笑)。

 産まれると、暮らしどころじゃなくなっちゃうのかなぁ。出産までに考えることはたくさんありますけど、考えすぎてもよくないので。不安になったら、周りの人に助けてもらおうかなって。なるべく人に頼ろうと思っています。

『イモトアヤコWEBマガジン よかん日和』

2021年9月15日にスタートしたイモトアヤコさんによるWEBマガジン。「旅するように暮らす」「日常をわくわくで満たしたい」そんな場所をつくるべくスタートした『よかん日和』。イモトアヤコが編集長となり、ステキな人のお話や、好きなものなど、日常にほんのちょっとの「わくわく」を予感させてくれるコンテンツがぎゅっと詰まっている。
https://www.yokanbiyori.com/

イモトアヤコ

1986年1月12日生まれ、鳥取県出身。2007年から日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」に出演。TBSラジオ「イモトアヤコのすっぴんしゃん」ではパーソナリティを務める。ドラマ、舞台など、俳優業にも活躍の場を広げている。

『棚からつぶ貝』

文藝春秋 1,430円

世界118カ国を飛び回ってきた著者の、初のエッセイ集。旅で出会った人、芸能界の友人、大好きな家族――世界中を飛び回りながら、著者が出会った大切な人たちを綴った一冊。CREAの連載に加え、追加で書き下ろしたエピソードも。

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2021.09.15(水)
文=高本亜紀
撮影=山元茂樹
スタイリング=奥田ひろ子
ヘアメイク=杉野加奈