花を買って家に飾る、それだけでも十分に豊かな時間を過ごせるけど、花の楽しみ方はノールール。

 今まで知らなかった花との新しい付き合い方を、フラワーデザイナーの佐藤俊輔さんがお届け。

 もっと自由に花と触れ合って、プレイフルな日々を楽しもう。


花屋さんでも意外と見かけない「青い花」

 暑い夏は、青い花をさらりと部屋に飾って涼を感じたいもの。しかし、実際に花屋さんに行ってみると青い花が見つからないなんてことも。

 もともと自然界に青い色素をもった花が少ないため、花屋さんでも青い花は意外と種類が少ないものです。

 花屋さんに勤めていたころ、特に男性へのプレゼントで、「青系の花束をお願いします」といわれることが多々ありました。

 そんな時は、青い花がないので、紫色を混ぜたり、包装紙の色に青を使用したりする提案をしていたことを思い出します。

 今回は、そんな希少な「青い花」にスポットをあててみたいと思います。花屋さんで比較的手に入りやすい青い花から、人の手によって作られた青い花、また自分で作れる青い花もご紹介します。

 まず、季節を問わず花屋さんで手に入りやすい青い花が、ブルースターです。

 青色の中でも爽やかな水色が特徴で、葉や茎が細かい白い毛で覆われていて全体的に白っぽくふわふわとしています。

 花は肉厚で、アイシングクッキーで作られたような見た目がチャーミング。茎を切ると白い乳液が出てきますので、これをふき取ってから水に入れるとお花が長持ちします。

 ひとつの茎からいくつかの葉や花が枝分かれしてついているものが多いので、短く切り分けて複数の小さな花瓶に飾るのもおすすめです。ふわふわとした葉も可愛いので、葉だけ切り分けて飾ってもその見た目を存分に楽しめます。

 もうひとつ、花屋さんで青い花の代表的なものといえば、デルフィニウムがあげられます。大きく分けると背が高く縦に順序よく花が並んでいるタイプと、柔らかい花がふわふわと広がっているタイプがあります。

 背が高いタイプは、縦のラインを活かして、細長い花器に生けるのがおすすめ。ちょうどいい花器がなければ、パスタケースなども利用できますし、1本ならワインボトルでも綺麗に飾れます。

 ふわふわと広がるタイプは、何本かをまとめて生けると、ボリュームが増してゴージャスに飾れます。柔らかい花弁が、まるでひらひらと舞う小さな青い蝶々のような、可愛らしいアレンジになります。

 英国のチャールズ皇太子は、堂々として美しいデルフィニウムを自身の好きな花の1つとしてあげています。男性、女性を問わず、好きな花の名前と理由をさらりと答えられるのはスマートで素敵ですよね。

2021.07.03(土)
文=佐藤俊輔