人生とは壮大な……コント(喜劇)である!?

「コントが始まる」

 あまりの豪華キャストなので、これだけのメンバーを集めてコケたら大変だろうな……という心配をスタート前にしていましたが、すいません完全に取り越し苦労でした。第一話から観ていてゾクゾク。日本映画界を支える同年代の俳優たちが集結し、自身と同年代の若者の役を演じています。「エモい」という消費された言葉はあまり使いたくないけど、この群像劇はぐっとこないわけがない! だって彼らにも俳優という道をえらんでいなければこういう人生があったかもしれないし、今こういう人生を送っている20代後半の人たちが日本のどこかにいるかもしれないんだから。

 高校の同級生でもある、春斗(菅田将暉)、潤平(仲野太賀)、瞬太(神木隆之介)が結成したコントトリオ「マクベス」を中心に物語は展開していきます。会社を辞め、生活費を稼ぐためにファミレスでアルバイトを始めた中浜里穂子(有村架純)は、そこで深夜にネタ作りをする3人の若者たちに出会い興味を持ち始めます。彼らが「マクベス」という名前で活動するお笑い芸人であり、隣のマンションで共同生活をしていることなどを知っていく里穂子は、どんどん「マクベス」のことが好きになっていきます。さらにそのいびつな関係図のなかに里穂子の妹・つむぎ(古川琴音)も加わることで、このドラマは5人の男女(青春ドラマの黄金比!)による青春群像劇になっています。

 青春群像劇といえば、恋や友情、将来のことなど、まさに「青春」がたくさん詰まった物語ですが、このメンバーのほとんどは20代も後半。本当はもう「青春」なんて言葉を言ってはいられないところがあります。だって10代の「あの頃」に思い描いた「未来」が「今」なんです。恋や友情に一喜一憂できる10代の多感な感受性は、現実を前にとうにすり減っているでしょう。それでもまだドラマでしっかり「青春」を実感させてくれるのは、それぞれの俳優のパブリックイメージに瑞々しさがちゃんとまだあるからです。

 まず、この仲がいい出演者たちのスケジュールが1クールの連続ドラマで揃うのは奇跡じゃないですか……? 制作陣にはこのドラマの肝と言っても過言ではないキャスティングを、がんばってくれてありがとうと心から言いたいです。劇中のそれぞれの生き方が服装などにも反映されているのメインビジュアルも最高にかっこいいので改めてチェックしてみてください。

 この作品はドラマは「マクベス」の3人がドラマ冒頭でコントを披露し、残りの53分間の物語の重要な伏線としてつながるという斬新な構成で物語が紡がれます。冒頭はお笑いらしく「マクベス」の出囃子の音からスタート。「エンタの神様」かな? と思いきや、ちゃんとドラマが始まります。どんな生き方も無駄にはならないんですよね。それぞれの生き方はドラマでありコントなのです。

土曜ドラマ「コントが始まる」

日本テレビ系 毎週土曜22:00~22:54
出演:菅田将暉 神木隆之介 仲野太賀 有村架純 古川琴音 松田ゆう姫 他

2021.05.01(土)
文=綿貫大介