3つのセクションで楽しみ尽くすデビッド・ボウイ・ワールド

左:1977年に発売されたアルバム「ヒーローズ」の一曲「ブラック・アウト」の歌詞
(C) The David Bowie Archive 2012. Image (C) V&A Images 
右:1997 年のアルバム「アースリング」のジャケットで、ボウイが身に着けているユニオンジャック・コート。アレキサンダー・マックイーンのデザイン
Photograph by Frank W Ockenfels 3. (C) Frank W Ockenfels 3

 展示は、大きく3つに分かれていて、最初のセクションでは、1947年1月8日に南ロンドン、ブリクストンでデビッド・ロバート・ジョーンズとして生を受けた時から、60年代のバンド活動、初のメジャーヒットとなった「スペイス・オディティ」まで、時系列で写真やスケッチ、アルバムなどを公開しています。

 次のセクションでは、作詞作曲、レコーディング、プロデュース、コスチュームやセットのデザイン、アルバムのアートワークなど、その創作活動の過程を追うつくりになっていて、ここでは、山本寛斎デザインのコスチューム、手書きの歌詞、本人の所有していた楽器なども展示されています。言葉を書き込んだ小さな紙を組み合わせて、歌詞をつくっていく手法を紹介する映像や、今回初公開となる、これらの言葉が書き込まれた紙片の展示も。また、このエキシビションでは、ジギー・スターダストに代表される、デビッド・ボウイが生み出し、演じた数々のキャラクターについても、その衣装やコンサート映像がたっぷり。

左:映画「地球に落ちてきた男」の宣伝用写真のコラージ(1975~1976年)。デビッド・ジェームズ撮影、デビッド・ボウイのデザイン
Courtesy of The David Bowie Archive 2012. Film stills (C) STUDIOCANAL Films Ltd
右:60年代に活動していたバンド「ザ・コンラッズ」の宣伝用写真(1963年)
Courtesy of The David Bowie Archive 2012. Image (C) V&A Images

 最後のセクションは、大展示室の三方にせり出したステージに衣装が飾られ、壁にはコンサート映像が映し出されるという、さながらライブ会場のよう。ここでは、設えられた長いすに腰掛けたり、寝転んだりして、音のシャワーを存分に楽しむことができます。またこのセクションには小さな別室があり、こちらでは過去に出演した映画作品を、映像を交えて紹介しています。

「歌にはあまり自信がないので、3Dアーティストとしての自分を見せたい」と若き日のデビッド・ボウイが語ったそのままに、多面的にデビッド・ボウイ・ワールドを楽しむことができる回顧展です。限定枚数ではありますが当日券を毎日朝10時から発売しているとのことなので、この時期にロンドンにいらっしゃる音楽好きの方なら、朝ちょっと早起きをしてヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

左:ベルリン時代の1976年に描かれたセルフポートレート。アルバム「ヒーローズ」のカバーにも使用された。デビッド・ボウイ画
(C) The David Bowie Archive 2012. Image (C) V&A Images
右:山本寛斎のデザインによる、「アラジン・セイン」ツアー用の縞柄のボディスーツ。日本人写真家の鋤田正義撮影(1973年)
(C) Sukita / The David Bowie Archive 2012

デビッド・ボウイ回顧展「David Bowie is」
期間 ~8月11日
開催場所 Victoria and Albert Museum
住所 Cromwell Road, London SW7
電話番号 +44-(0)20-7942-2000
URL www.vam.ac.uk
開催時間 土~月曜日 10:00~17:30(前売りのみ土曜日のレイトナイトあり)、金曜日 10:00~21:30(最終入場は、閉館時間の15分前)
入場料金 大人14ポンド(前売りの場合は、プラス手数料1.50~1.80ポンド)

Kazuyo Yasuda(KRess Europe)
ロンドンを拠点とする編集プロダクションKRess Europeの代表。現在、ヨーロッパでの生活をテーマとした初めての電子書籍を年内に刊行すべく、準備中。

 

Column

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text&photographs:Kazuyo Yasuda(KRess Europe)