右:大通りに面したところにあるギリシャ正教会の鐘塔。典型的なトルコの町の中に、こうした教会がすんなり溶け込んでいる
イスタンブールッ子たちもが、古き良きイスタンブールが残る町として愛するクズグンジュック。アジア側の海沿いにひっそりとたたずむこの小さな町には、確かに人を魅了する空気がある。
クズグンジュックはもともとユダヤ人が住んでいた町だ。その後もルーム人(ギリシャ系トルコ人)やアルメニア人など、非ムスリマン(非イスラム教徒)たちが多く住むエリアだったため、今でもシナゴーグやギリシャ正教会、アルメニア教会が並ぶ。これと同時にイスラム教モスクや昔ながらのフルン(パン屋さん)、チャイハネといった典型的なトルコ的風景も当たり前のように広がっており、オスマントルコ帝国時代から綿々と続くこの地域独特の多文化性は違和感なく溶け合っている。
text&photographs:Aki Yasuo