子育てと仕事の両立はいつでも綱渡り、ようやく母らしくなったかな

ーー23時からのオンエアに向けて、どんなスケジュールで過ごしているのでしょうか。

 番組前の打ち合わせは2回あって、最初が夕方前。コロナ禍の今はリモートでの会議になっているので、その時間まで子どもと一緒に過ごしています。その後、家族とバトンタッチ、寝かしつけを任せて出勤します。

 番組が終わって反省会などを終えると、帰宅するのは深夜。最近は夜泣きが始まったので、家についてドアを開けた瞬間に泣き声が聞こえてくることもあって、シャワー浴びたいな、なんて思いながらも、急いで着替えて必死に駆けつけて授乳して。なんとか泣きを収めるということもあります。綱渡りですね(笑)。

ーー成長が早い時期、子育ての内容も刻々と変わっていきますね。

 最近、首がすわるようになってお世話しやすくなってきたこともあれば、成長の過程で逆に難しくなったこともあります。やっと感覚をつかめたと喜んだら、次の日にはそのやり方が通用しなくなったりして、まさに一進一退ですね。

 仕事は頑張れば頑張った分、何かの希望が見えたり、積み上げてゆくことで手応えが得られたりするものですが、子育てはそう簡単に見返りがあるわけじゃない。忍耐のいる仕事だと突きつけられている気がします。

 でも、この間嬉しいこともあって。先輩お母さんから子どもを産むと前髪の生え際にぱやぱやした短い毛が生えてくると聞いていたんですが、最近ふと鏡を見たら生え際がぱやぱやしていたんです。ホルモンバランスの変化による抜け毛が原因らしいので、本来喜ばしいことではないはずなんですが、ある意味母らしくなってきたということなのかなと……。そんなふうに捉えて妙にホッとしました(笑)。

ニュースの当事者と視聴者のかすがいになりたい

ーー子育てをしていると、身の回りのことで手いっぱいになって、大きな世界のことを考えられなくなったり、社会から置き去りにされるような孤独を覚える人も多いと聞きます。

 短い期間ですが育休の間、自分と子どもだけの世界に閉じこもっている感覚はたしかにあって、寂しさを覚えていました。そんな時にテレビをつけたら、画面の向こうに広がるスタジオや外の世界とシームレスに感じられる瞬間があって、気持ちが和らいだんです。

 今はテレビじゃなくても好きな時間に好きなようにニュースに接する機会はあります。でも、決まった時間にテレビをつけてその空間を共有することにも意味があるのかもしれない、と。これってテレビの役目であり、生放送の報道番組の仕事、可能性でもあるのかなと改めて感じることができました。

 子どもが寝静まった後に慌ただしく家事をして、ちょっとほっとして23時頃にテレビをつける方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も毎晩、ギリギリの状態で必死にオンエアに食らいついているので、番組を通じて世の中のことに思いを馳せながら、ああこの人も必死にもがいているんだなと、少しでも親近感を持っていただけたら嬉しいですね。

 もちろん子育て中に限らず、社会とつながる感覚を持てない状況の方もいらっしゃるでしょうし、コロナ禍にあっては外に出られなかったり、人と会えなかったり、誰もがふさぎがちになっていますよね。こんな時こそ、より温もりを持って番組を見てくださる方と向き合って、視聴者の方々と番組、ニュースの当事者や取材相手とのかすがいのような存在になれたら理想的です。

 一方で出産を機に、日本や世界がこれからどう動いてゆくのか、ますます他人ごとではないと感じられるようになりました。子ども世代がこれから生きる未来はよりよいものになるのだろうかと今までより一歩踏み込んで考え、大きな世界をより能動的に考えるようになった気がします。

2021.01.11(月)
文=嵯峨崎文香
撮影=藤原江理奈
ヘアメイク=毛利仁美
スタイリスト=せいのあんり
企画協力=赤石晋一郎