錬金術師の家
路地裏にひっそりたたずむ錬金術師の家
この家にはその昔、ユダヤ人の錬金術師が住んでいたという。あるクリスチャンの若者がこの家の娘に恋をするが、娘は見向きもしない。それを恨んだ若者は父親である錬金術師に、香りだけで死に至る妙薬を注文。錬金術師はそれが娘に使われるとはつゆ知らず、注文通りの薬を調合してしまう。娘を殺したのが自分の薬だと知った錬金術師は、この家に呪いをかけ行方をくらましてしまった……。
歴史家によれば残念ながら、この伝説には根拠がないらしいが、この辺りがユダヤ人街だったのはれっきとした事実。そして14世紀末にはユダヤ人虐殺の悲劇も起こっている。1391年、不安定な社会情勢からユダヤ人に対する敵愾心が高まり、暴徒化した市民がユダヤ人街に突入、この錬金術師の家も焼き打ちにあっている。一部のユダヤ人は要塞跡であったCastell Nouに避難することに成功したものの、最終的にはほとんどが殺されてしまったという。
現在この建物はユダヤ人街資料館(Centre d’Interpretacio del Call)として使用されており、入口は建物の反対側、Placeta de Manuel Ribeに面している
アウグストゥス神殿 (Temple d'August)
住所 Paradis, 10 Centre Excursionista de Catalunya内
URL www.bcn.cat/museuhistoriaciutat/ca/muhba_temple_august.html
聖女エウラリアの坂道
住所 Baixada de Santa Eulalia
錬金術師の家 (Casa de l'alquimista)
住所 Arc de Sant Ramon del Call, 8
URL www.bcn.cat/museuhistoriaciutat/ca/muhba_el_call.html
坪田みゆき(つぼたみゆき)
バルセロナ在住、コーディネイター。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)イスパニア語学科卒。在東京スペイン政府観光局勤務などを経て、2004年よりバルセロナ在住。バルセロナ、バレアレス諸島(マヨルカ島他)、バスク地方などを中心に、スペイン全土の取材・撮影コーディネイトの他、通訳・翻訳業務も行っている。http://spainbcn.exblog.jp/
text:Miyuki Tsubota
