原石が熟練の技でカットされ、磨かれ、初めて放たれる輝き。

 それがふたりの未来を照らす奇跡。ダイヤモンドの旅路を辿り、地球と人間のパワーに包まれたら、さあ、永遠の愛の旅へ!


尊く優美な輝きの歴史は アントワープから始まった

 世界中の花嫁の憧れの的、ダイヤモンドのエンゲージリング。その形とは? 真上から見ると丸く、横から見ると逆三角形……。多くの人がそんなイメージを描くことだろう。それこそ「ラウンドブリリアントカット」の美しき姿。

 現在、世界に流通するダイヤモンドの9割以上に採用される“理想形”である。原型は100年以上も前、1919年にベルギーのアントワープで生まれた。考案者はトルコウスキー家の4代目、マーセル。

 ベルギーは15世紀より、世界の原石が集まるダイヤモンドの聖地として栄えており、19世紀後半より研磨工場を営む一族はその中心的存在だった。王室とも繋がりを持ち、業界に名を馳せていたのである。

 職人であり、数学者でもあったマーセル・トルコウスキーは、大きさや重さに価値を置き“輝き”を重視しない、当時のダイヤモンド業界に疑問を抱いていた。

 そして“美しく輝くダイヤモンド”を生み出すため、数学者ならではの知識で反射や屈折率を解析。遂に58面の理想的なプロポーションを発見する。

 外からの光を巧みに取り込み、反射させ、再び外に向かってドラマティックに放つ「アイディアルラウンドブリリアントカット」の誕生である。

 世で「ラウンドブリリアントカット」と呼ばれるようになったこのダイヤモンドの理想形は、リングのみならず、ティアラやイヤリング、ネックレス等にも多用され、愛の誓いをより高貴に華やかに演出している。

 現在、マーセルの後継者として「輝き」を極めるのは、7代目のジャン・ポール・トルコウスキー。そのお眼鏡に適うダイヤモンドは100年余の時空を超え、花嫁に愛と幸福を届けている。

Edit, Styling & Text=Mami Sekiya
Assistant Edit=Mai Ogawa
Photographs=Fumito Shibasaki(donna)
Model=Kanako Hiyoshi
Manicure=Maki Fujiwara(UM)