現在進行形の香港を楽しむ、こんなカフェ

 オールド香港カフェのひとつとして話題になったのが、50~70年代風情たっぷりの2店の“レトロ・スタバ”。香港島・中環の都爹利街(ダデルストリート)にある店舗は昔ながらの冰室を、九龍半島・旺角洗衣街にある店舗は古い映画館をコンセプトにしている。いずれも、スターバックスと、レトロモダンなインテリア雑貨で人気の香港ブランド「GOD」とのコラボで実現したもの。メニューは他店舗とほとんど変わらないが、その演出は独特。「どの国・街にいっても同じ雰囲気」のスターバックスも、ここだけは香港限定、そして新しい茶餐廳文化を感じることができる。

今年オープンした旺角洗衣街店は、麻雀パイで作られた壁の装飾や昔の映画ポスターなど、オールド香港のテイストたっぷり

 香港に昔からあるティータイムのスタイルといえば、午後のアフタヌーン・ティー。5つ星ホテルのカフェでお茶とスイーツを口にする優雅な時間は、香港を旅する間に一度は体験してみたいもの。アフタヌーン・ティーというと、三段重ねのティースタンドにスコーン、ミニサンドイッチ、ケーキ、というスタイルが定番だが、最近は趣向を凝らした個性派アフタヌーン・ティーも登場している。チョコレートを駆使した独創的なスイーツでティータイムを楽しめるのが、「ザ・リッツ・カールトン香港」の「カフェ103」。103階という超高層階からヴィクトリア・ハーバーとピークを見下ろす(見上げる、ではなく、見下ろす!)ロケーションも格別だ。

眼下に広がるのは、ヴィクトリア・ハーバー。その向こうには、ピークと香港島の高層ビル群が

 スイーツが乗るのは、三段重ねのトレーではなく、本棚をかたどった小さな棚。ラズベリーとチョコレートのタルト、オレンジジャム入りのマカロン、濃厚なブラウニー、チョコレート入りのチーズケーキ……などなど、チョコレートづくし。とはいっても、チョコレートの繊細な甘さとフルーツの酸味が絶妙にマッチしているし、フォアグラやサーモンのサンドイッチなどもあって、飽きることがない。パティシエいわく、コーヒーや紅茶もいいけれど、香り高い中国茶とあわせるのもおすすめなのだそう。

ハーバーと香港島のパノラマビュー、そして極上のスイーツ。アフタヌーン・ティー(15~18時)は2人分で488香港ドル(約5200円)

 英国植民地時代の名残が香る、伝統的なアフタヌーン・ティー。中国に返還されて15年経った今も、そのスタイルを変えながら、香港の食文化として続いている。変わりゆく香港を眼下に眺めながら、中国茶と極上のスイーツ。そんな時間を天空のカフェで過ごすのも、現在進行形の香港を感じる時間だ。

美都餐室 (ミドーカフェ)
住所 油麻地廟街63号地下
電話 +852-2384-6432

星巴克冰室 (スターバックスコーヒー)
(中環都爹利街)
住所 中環都爹利街13号楽成行地庫中層
電話 +852-2523-5685
営業時間 月~木 7:00~21:00、金 7:00~22:00、土 8:00~22:00、日祝 9:00~20:00
定休日 無休
(旺角洗衣)
住所 旺角洗衣街89-91号偉基楼1F&2F
電話 +852-2789-8710
営業時間 月~木 8:00~23:00、金土 8:00~翌0:00、日祝 8:00~23:00
定休日 無休
URL www.starbucks.com.hk/zh-hk

Café 103 (カフェ103)
住所 九龍柯士甸道西1号 環球貿易広場103F (香港麗思卡爾頓酒店内)
電話 +852-2263-2263
URL www.ritzcarlton.com/en/Properties/HongKong/Dining/Cafe_103/Default.htm

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
トラベルライター。マカオをはじめとするアジア、中米を中心に取材。テーマは、ネイティブの暮らしやローカルフード、リゾート、ホテルなど。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビ、雑誌などで発信中。トラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(著・花津ハナヨ  文藝春秋)では、女流漫画家の花津ハナヨ氏と共にマカオを歩き、女性視点のユニークなマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。www.serizawa.cn

Column

芹澤和美の香港・マカオ 時の流れを超える旅

マカオをはじめとするアジア、中米を中心に取材するトラベルライターの芹澤和美さんが、昔の姿を残しながらも近年急速に発展する街・マカオ、そしてエキゾチックな香港の魅力を紹介します。

2012.12.19(水)