オアフ島ワイキキ、カウアイ島プリンスヴィル然り、ハワイの各島には観光業の歴史を残すエリアがある。マウイ島カアナパリもその一つだ。1960年代にマウイ島の観光業を発展させるために一大リゾート計画は始まった。そのとき、捕鯨で栄えていたラハイナの町にほど近く、古代ハワイの土地区分の方法「アフプアア」(山から海に広がる三角形の生活区)ではハナカオオと呼ばれるエリアであったカアナパリが選ばれ、名だたる老舗リゾートホテルが建ちはじめたという。
昔からのリゾートエリアの良さは、ゆったりとした空間をとっていること。間近に建つ他のホテルもなく、ゆとりをもって建てられた建物や、海にしっかりと面した最高のロケーションは、後からの開発では得られない。アストン・マウイ・カアナパリ・ヴィラはその典型だ。フロントデスクのあるアロハタワーを中心に、低層階の建物は全米ナンバーワンビーチとしても名高いカアナパリ・ビーチに向って伸び、マウナ・カハーラーヴァイの山並みを見上げるように並ぶ。
開放的な空間のロビーフロア、フロントデスクでは、温かい笑顔のスタッフが到着するゲストの応対をしたり、滞在中のゲストと会話を楽しんでいる。ゲストの出入りの激しい大型ホテルなどでは味わえない感覚だ。地元に長く住むスタッフが、初めて滞在するゲストに、住んでいないとわからないようなカアナパリ・エリアの魅力を語ったり、見どころのアドバイスなどをしたりする姿は微笑ましい。リピーターが多いことにもうなずける。
ロビーフロアの並びには、本や雑誌の積まれた書棚のあるスペースもあり、コーヒーを片手に、ときに庭を眺めながら、本のページをめくる人を見かける。敷地内に流れるゆったりとした空気は、何よりリラックスできる。朝と夕の散歩を楽しむゲストも多く、ゲスト同士の会話も軽やかだ。